沖縄電力と共同で、かりーるーふの事業に主体事業者として取り組んでいるのが沖縄新エネ開発だ。同社は、かりーるーふの設置や保守、撤去までの一切を担当する。実際には、かりーるーふの設備は、同社の所有となっている。
太陽光による発電は、これまでであれば消費者が自ら太陽光パネルを購入・設置し、自家消費や固定価格買取制度(FIT)を使って投資を回収するのが一般的だった。このような環境が、かりーるーふによって変革がもたらされる。
沖縄新エネ開発 事業開発・設備運用グループ 金城隆太氏は、太陽光パネルの価格が下がり、さらに導入と運用のコストを抑える工夫によって、かりーるーふのサービスが可能になったと語る。
例えば、かりーるーふは太陽光パネルをはじめ、関連の機器が住宅の外部(屋外)に設置される。これは、導入時の効率に大きく影響する。機器が屋外にあれば、設置後のメンテナンスで住民が立ち会う必要はない。必要な保守作業が効率的に行えるようになり、無駄のない運用ができる。ちなみに、制御に関する情報やデータは電話回線で知られるLTE回線を使って管理・更新される。
かりーるーふには、単独で機能する住居向けの太陽光発電システムという用途以外に、電力の安定供給を目指すという基本目的がある。複数のかりーるーふを仮想的に統合し、VPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)として機能させる。これによって電力供給を分散し平準化する。
そのためには、稼働中にある複数のかりーるーふを制御・連携させ統合的に管理する必要がある。この管理や制御に対して技術的なサポートするのがパナソニック ライフソリューションズ社だ。
パナソニック ライフソリューションズ社の西川弘記氏は、「今後はエネルギーに関して転換が始まる」と語る。電力の供給では、系統を分散化し、障害やトラブルへの対応力を強化する動きがある。また、脱炭素への動きが加速し、燃料電池システムの大規模導入など、水素システムも一般化するだろう。そのため、蓄電池の価格も今よりも安くなることが予測される。
これらの動きに対し、西川氏は「再生可能エネルギーの主力化の中で、暮らしをアップデートできる社会にしたい」と方針を語る。
実現には、データ連携が不可欠となる。需要と供給を同時に行う需給一体型のPPAでは、エネルギーのマネジメントが必須。これに関してパナソニック ライフソリューションズ社は、AIや通信などのデジタル技術を活用し、需要設備である太陽光、給湯器、蓄電池などを群制御するサービスを提供する。
西川氏は、同社の強みを電気メーターから下で稼働する家電を扱っていることを理由に、「需要負荷を知っていること」と強調する。逆に、電力会社やエネルギー会社は、電気メーターから上の供給側を熟知している。この需要側と供給側を一体でコントロールすれば、効率的なエネルギー制御が実現する。
西川氏は、「電力会社やエネルギー会社とコラボして、効率的なエネルギーのコントロールを目指し、新しいビジネスモデルにしたい。しかし同時に、パナソニックの独占ではなく、誰もが使えて普及ができる技術にできれば。また、電気工事などは地域の人、近くの人に頼みたいとの顧客の要望に沿うように、地域環境や共生圏を大事にした体制を整えたい」との展望を示した。
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