日立製作所と日立ビルシステムは、エレベーターを対象に感染症のリスクを軽減する新たなソリューションを開発した。同時に既存の非接触操作を可能にする装置を従来の新設だけでなく、リニューアルにも適用範囲を広げ、感染対策のラインアップを拡充し、ニューノーマルに適応したエレベーターサービスとして順次提供している。
日立製作所と日立ビルシステムは、エレベーター用に感染症リスクを軽減するソリューションのラインアップを3種類に拡充した。密閉・密集の回避を実現する「かご内クリーン運転」と「密集回避運転」のソリューションを新たに開発し、新設オプションで同年12月23日から、リニューアルの新メニューで2021年1月から、それぞれ提供を始めたことに加え、新設エレベーターのオプション(有償付加)仕様として2020年11月18日に発売した「非接触登録装置」は、2020年12月23日にリニューアル時のメニューに追加した。
3種のソリューションのうち、既存の非接触登録装置は、エレベーターホールの乗り場ボタン(上下ボタン)や乗りかご内の行先階ボタンにセンサーを併設し、直接ボタンに触れることなくセンサーに手をかざすことで、エレベーターを呼び出し、行き先階を登録できる装置。
新規のかご内クリーン運転は、強制換気ファンを新開発したことで、空気のさまざまな汚れを抑制して、清潔で快適な空間を実現。パナソニックの空気清浄機「ナノイー X」と組み合わせて、エレベーターの乗りかご内の換気や空気清浄が可能となる。
「かご内クリーン運転」の概要。左から、エレベーターが待機状態となり、一定時間が経過すると自動で戸を開き、強制換気ファンを回して乗りかご内の空気を入れ換える。強制換気の完了後には、戸を閉じ、「ナノイー X」発生装置を起動し、空気を清浄 出典:日立製作所、日立ビルシステム密集回避運転は、エレベーターの乗りかご内の積載量に応じて、密集度を3段階に分け、段階に応じた注意喚起のアナウンスや運転制御を行うことで、乗りかご内の密集を回避する。密集度の低い段階1では、密集を避けた乗車を促すアナウンスを流し、次の段階2ではアナウンス後にドアが閉まり、途中階での呼び出しには応じず、行き先階に直行。最も密集度の高い段階3では、密集状態が解消される(段階2以下になる)まで、アナウンスで降車を促し、その場で待機して、乗り場の密を防ぐため、自動的に別のエレベーターも呼び出す。
「密集回避運転」の概要。左から、段階1 密集度:低い(密集を避けた乗車を促すアナウンスを実施)、段階2 密集度:高い(追加乗車を抑制)、段階3 密集度:かなり高い(降車を促し、その場で待機) 出典:日立製作所、日立ビルシステム新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、ビル分野でも、感染リスクの低減に向け、エレベーターなどの共用設備に手を触れない形での移動やソーシャル・ディスタンシングといった対応が求められている。
こうした背景を受け、日立製作所と日立ビルシステムは、建物内の非接触での移動・生活を実現するタッチレスソリューションや感染症リスク軽減ソリューションを体系化し、順次ラインアップを増やしており、今回のラインアップ強化もその一環。これまでには、防犯カメラなどでの顔認証・人流解析で、エントランスからエレベーターを経て、執務室などの専有部まで非接触で建物内を移動することを可能にするソリューションやLINEに連携したタッチレスエレベーター呼びサービス「エレトモ」などを市場に展開している。
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