パナソニックは、特定のエリアにおける既設の照明や音響機器、デジタルサイネージやモニターといった映像機器、監視カメラなどのデバイスを統合管理できるプラットフォームを開発し、日本の芸術文化を楽しむイベント「キャナルアートモーメント品川2020〜Art Empowerment〜」で、密回避や来場者の体験価値向上に有効かを検証した。
パナソニックは2020年10月2日、東京都品川区で同年10月10日に行った実証実験の内容を説明するセミナー「ニューノーマル時代に向けたエリア価値創造サービス実証実験」をオンラインで開催した。
会場では、パナソニック ビジネスソリューション本部 CRE 事業推進部 主幹 福富久記氏やパナソニック ライフソリューションズ社 ライティング事業部 部長 横井裕氏などが、日本の芸術文化を楽しむイベント「キャナルアートモーメント品川2020〜Art Empowerment〜」(会期:2020年10月10〜11日、天王洲キャナルイースト)で、実施した人起点のクラウド型エリア価値創造サービスについて紹介した。
人起点のクラウド型エリア価値創造サービスは、クラウド制御による光と音の空間演出やエリアマネジメント、プロモーションサポートで構成されており、資産価値の向上やブランディング、コミュニティー形成といった地域の価値創出に貢献する。
サービスの核となるプラットフォームは、IoTクラウドを介して、PCまたはタブレットで、既設の照明や音響機器、デジタルサイネージやモニターといった映像機器、監視カメラなどを統合管理するもの。実験では、キャナルアートモーメント品川2020で、プラットフォームを用いて、来場者の移動や密回避などを働きかけるライティングを検証した他、イベントのライブパフォーマンスをより魅力的にする空間演出を確かめた。
パナソニック ライフソリューションズ社の横井氏は、「具体的には、来場者の移動や密回避などを促すライティングでは、まず天王洲エリアの歩行者通路を対象に、AIネットワークカメラのセンシング技術を使用し、人の混雑率を10メートル単位で可視化する。特定のスペースにおける混雑率に応じて、滞留や分散、誘導を促す光の演出で、賑(にぎ)わい創出や快適な移動の促進、密回避を実現できるか調べる。さらに、人が離れたくなる光の色と動きや近づきたくなる光のカラーと動作を調査する」とコメントした。
続けて、「プラットフォームを利用し、音響と照明の機器を連動させた空間演出では、イベントのライブパフォーマンスで発生する音楽に合わせて、会場周辺に配置された既設照明24台と仮設照明60台でライトアップし、天王洲エリア全体をライブステージのようにして、観客に非日常的な体験を提供する」と述べた。
また、事前に天王洲エリアのVRを作成し、リモートで照明と音響のシミュレーションができるようにし、その効果を調べた。イベント当日は、AIネットワークカメラのセンシング技術を活用して、来場者の性別と年代の測定やマスク着用の検知、体温の計測を行うことがエリアのマネジメントとマーケティングで有効かを検証した。
さらに、Web上でパノラマカメラにより撮影したライブ映像のリアルタイム配信とVRで構築したイベント会場の公開を行い、場所を選ばずキャナルアートモーメント品川2020を楽しめるようにし、エリアプロモーションで貢献するかを確かめた。
今後の展開について、横井氏は、「今回の実験で検証したプラットフォームやサービスは、将来的に地方の再生や都市のDX化、観光業の支援で役立つようにアップデートを進めていく」と展望を明かした。
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