パナソニック ライフソリューションズ社(LS社)が2020年に開設したライブオフィス「worXlab(ワークスラボ)」では、従来の建物起点ではなく、人起点の考えに基づくオフィス空間のソリューションを多角的に展開している。そのなかには、会議中のコロナ対策として、ダウンフロー気流でエアロゾルの滞留を抑制する最先端技術が体感できるなど、現在のオフィス空間に欠かせない、さまざまなアイデアが盛り込まれている。
パナソニック ライフソリューションズ社は2020年12月3日、「働く」を実験するライブオフィス「worXlab(ワークスラボ)」をパナソニック東京汐留ビル16階にオープンした。
worXlabでは、ニューノーマル時代に合わせ、既存設備の改装工事だけで実装可能な「換気」「気流」「調湿+除菌」の各システムによる、新しい空気環境への取り組みが体感できる。現在のセンターオフィスに求められる機能として、「安全」「交流」「集中」「回復」の4つのテーマを設定。それぞれのテーマに不可欠となるソリューションをラボ内に展開し、多様化する働き方のサポートを提案している。
空間ソリューション事業推進室 マーケティング推進部 部長の丸山功一氏は、「近年のデジタル化とコロナ禍により、オフィス空間は人が時間や場所に縛られることのないワークプレースへ進化している」と語る。従来のスペースの効率化という建物起点の考え方が、人起点へと変わっていくことで、働きやすさと生産性のバランスが求められるようになったと続ける。個人ワークを中心としたサテライトオフィスや、育児・介護をしながら仕事に集中するホームオフィスなど、働く場所の分散化が進むなかで特に大切なのは、「シームレスにつながることだ」と熱を込める。
同社では、進化するワークプレースの具現化にあたり、「breathing」(ブリージング)というコンセプトを掲げている。「breathingは直訳すると呼吸。まるで空間自体が生きているかのように呼吸し、変化を続けていくことで、そこで働く人々も生き生きと健やかに過ごせる。そのようなワークプレースを目指したい」(丸山氏)。
worXlabでは、従業員の安全や快適性の向上に向けて、人・環境・設備のデータを取得して可視化。取得データは効率的なビル管理と運用にも活用している。具体的には、バイタルセンサーで測る心拍数などやBeacon(ビーコン)による位置情報といった人に関するデータの他、環境と設備データを取得するために200個以上のデバイスをラボ内に実装。これらで集積したリアルタイムの空間情報を各社員のスマートフォンやオフィス内に設置されたデジタルサイネージで表示するだけでなく、会話量や動線も解析することで、コミュニケーションや活動量を可視化している。さらに、取得した人・環境・設備のデータはクラウド上で解析した後、オフィス内の各設備に最適な制御システムとしてフィードバックし、常に安心で快適な環境を提供している。
ここからは、worXlabに実装されている各ソリューションの詳細について触れていく。入館ゲートには、マスク着用時でも判別可能な顔認証と体表面温度の計測カメラを搭載し、非接触での入室管理を実現。また、室内の情報分析機能に基づき、リアルタイムでCO2濃度と温湿度の状況を5段階スコアでモニターに表示し、入室前に室内の安全や快適性を確認できるように工夫している。
室内に入ると、同社技術ならではの光・空気・音・香り・映像の融合による五感へ訴える空間演出「ウエルカムウォール」「スイッチスポット」「エアコクーン」に目が止まる。疑似的に大自然を体感できるなど、仕事のON/OFFを切り替えられるリラックスゾーンとして社員の憩いの場となっている。
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