日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ〜

 日本の建設業界は、長時間労働や就業者の高齢化などさまざまな問題を抱え、変わっていかなければならないというのは、既に共通認識となっている。その対応策として、建設業におけるICT化に期待が寄せられ、BIM・デジタルコンストラクション・建設DX・デジタルツイン・IoTなどの取り組みが日夜紹介されているが、なかなか大きな成果につながっているようには見えない。一方で、RevitなどBIMツールの活用は進みつつあり、設計での設備の対応は遅れてはいるが、意匠・構造は大手企業を中心に、2次元CADからBIMソフトへの移行が進んでいる。ただ、これも単にツールを2次元から3次元に置き換えるだけであれば、業務の効率化以上の成果を出すことは難しい。大きな成果を目指すためには、これまでの慣習を捨て、プロセスを変えねばならない。プロセスを変えようとせず、個々の技術がバラバラに進化し、便利なツールとしてのみ活用が進んでゆくことは、逆に将来大きな障害になる可能性さえある。こういった現状が、日本の建設業界における「危機構造」といえるのではないだろうか。まずは、日本の建設業界が、この「危機構造」を認識し、そこをどう乗り越えるのかという議論を始めなければならない。本連載では、その建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオを描いてゆく。

日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ〜(9):

2018年に国際規格「ISO 19650-1,-2」が発行されてから、徐々に各国にも取得の動きが広まってきている。世界の建設業が同じ標準のもとで、つながろうとしていることの表れではないだろうか。今回は、国際規格としてのISO 19650の意義や取り入れることのメリットから、世界各国のBIMガイドラインにどのように影響を与えているかを解説する。

[伊藤久晴(BIMプロセスイノベーション), BUILT] ()
日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ〜(8):

これまで日本列島BIM改革論では、日本の建設業界が抱える多様な課題や問題点を挙げてきた。こうした課題の根本的原因は、「つながらないBIM」にある。これは、BIMの仕組みが企業ごとに異なっていることから起きる。まさにこれが、建設業界の「危機構造」の根源的な原因ともいえる。私は日本のBIMがつながるように、「BIM Innovation HUB」を設立するとともに、「共通BIM環境」を提唱する。BIMの最適な環境整備によって、建設業界の危機構造を脱却するための一歩が踏み出せるに違いない。

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日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ〜(7):

建設業界は、BIMという新しい技術とプロセスを得て、急速な進化の時期を迎えている。日本の建設業界は保守的で、進化スピードは海外に比べてとても遅く、すぐに大きな変化を産むことは難しいが、いずれは確実に発展してゆくことは間違いない。BIMは単に設計・施工を効率化するためだけのものではない。BIMを軸としたプロセスをベースに、建設業が抱える重要課題を解決していかねばならない。その重要課題とは、「情報セキュリティ」と「安全衛生」であり、その方向にもBIMは発展してゆかねばならない。この2大リスクがBIMによって低減されることで、建設業界で、BIMの価値はより高まるはずだ。今回はこのBIMによる情報セキュリティと安全衛生について考察してゆきたい。

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日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ〜(6):

建設費や工期の削減には、フロントローディングが必須となる。しかし、フロントローディングはBIMソフトを単にツールとして使うだけでは、到底実現できない。では何が必要かと言えば、発注者が自ら情報要求事項のマネジメントを行い、設計変更を起こさない仕組みを作り、意思決定を早期に企図しなければならない。これこそがBIMによる建設生産プロセス全体の改革につながる。今回は、現状の課題を確認したうえで、情報要求事項とそのマネジメント、設計段階でのバーチャルハンドオーバー(VHO)によるデジタルツインによる設計・施工などを解説し、発注者を含めたプロジェクトメンバー全体でどのように実現してゆくかを示したい。

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日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ〜(5):

建設費や工期の削減には、フロントローディングが必須となる。しかし、フロントローディングはBIMソフトを単にツールとして使うだけでは、到底実現できない。では何が必要かと言えば、発注者が自ら情報要求事項をマネジメントし、設計変更を起こさない仕組みを作り、意思決定を早期に企図しなければならない。これこそがBIMによる建設生産プロセス全体の改革につながる。今回は、現状の課題を確認したうえで、情報要求事項とそのマネジメント、設計段階でのバーチャルハンドオーバー(VHO)によるデジタルツインによる設計・施工などを前後編で解説し、発注者を含めたプロジェクトメンバー全体でどのように実現してゆくかを示したい。

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日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ〜(4):

これまで「日本列島BIM改革論」の連載では、日本のBIMの危機構造とは何かについて述べてきた。危機構造から脱却し、建設DXへ向かうには、情報基盤としてのBIMが必要となる。しかし、日本で作られるBIMモデルは、情報基盤としての構造化データとはいえないばかりか、竣工後には使い捨てられ、再利用されることは少ない。そこで、BIMモデルを構造化データとするためには、何をすべきかを考えてみよう。

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日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ〜(3):

「日本列島BIM改革論」の連載第3回では、「日本の建設業界の危機構造」について説明する。危機構造の根源となっている「日本型BIM」を脱却し、BIMを建設DXの情報基盤となるように再構築してゆく、地道な段階を踏む選択をすることこそが、今の日本の建設業界にとって必要不可欠な意義であることを説く。

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日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ〜(2):

「日本列島BIM改革論」の連載第2回では、大和ハウス工業在籍時に日本初となるISO 19650-2の認証取得に取り組んだ伊藤久晴氏(現BIMプロセスイノベーション)が、日本列島BIM改革論の重要テーマの1つとして、「業務プロセス改革」がなぜ必要なのかを提言する。

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日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ〜(1):

建設業界が抱える人材不足、技術伝承などの諸課題をICTによって解決しようという取り組みが国内でも広がりつつある。しかし、BIMをはじめICTツールの導入のみにスポットが当たることが多く、その先にあるICT活用の真価を発揮できているケースは少ないのではないだろうか。本連載では、長年にわたり、大和ハウス工業やRevitユーザー会(RUG)で、日本のBIM進化の一翼を担ってきた伊藤久晴氏(現BIMプロセスイノベーション代表)が、「日本列島BIM改革論」と銘打ち、BIMを起点とした成長過程にある“建設DX”や“デジタル・ウェルビーイング”という未来も見据え、建設業が足元の「危機構造」からいかに脱却すべきか、プロセス変革の秘策を提言していく。

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