鴻池組は、熱中症対策を強化するため、WBGT33℃以上での作業中止や連続休暇の導入などを盛り込んだ包括的な酷暑対策ロードマップを策定した。
鴻池組は2026年3月6日、深刻化する熱中症問題に対応するため、包括的な酷暑対策ロードマップを策定したと発表した。夏季連続休暇やサマータイムの導入、WBGTが一定値を超過した場合の作業中止などの施策により、酷暑期の安全性向上や技能労働者の処遇改善を図る。2026年にモデル現場で試験導入を実施する。
建設業における2020〜2024年の熱中症の死傷者数は961人、死者数は54人に達し、全産業の中で死傷者数の20.4%、死者数の40.3%を占める高い水準を示している。また、気候変動による気温上昇により、東京都では2020年以降、猛暑日が増加傾向にある。
労働生産性は気温が24℃を超えると低下し、33℃を超えると50%まで落ち込むとされる。屋外就労がメインの建設技能労働者を約26万人、6〜8月の平均猛暑日(最高気温35℃以上)を20日として試算した場合、労働生産性の低下によって「消えた労働力」は260万人に相当する。安全面だけでなく、経済面でも大きな影響を与える課題となっている。
鴻池組が策定したロードマップでは、核となる施策として、労働時間や勤務日数の見直し、安全対策の強化や労働環境の改善などを実施する。
労働や勤務日数の観点では、1年単位の変形労働時間制を活用し、夏季に連続休暇を導入。8月に3週間の集中閉所、または7〜9月に分割して閉所する方式を検討する。また週休3日制(水土日/金土日/土日月を想定)、労働時間短縮や朝夕シフトによるサマータイムも設定する。
安全と労働環境の面では、水分補給と小まめな休憩を組み合わせた「ウォータータイム」を実施するほか、WBGTが一定値(WBGT33℃超過で検討中)を超えた場合の作業中止、加えて休憩スペースの充実や冷却機器の導入など、現場環境の整備も進める。
2026年にモデル現場で試験導入を開始し、2027年には連続休暇案の導入と適用現場拡大を図る方針だ。その後は酷暑期の労働時間削減や熱中症対策を継続/拡大し、2030年に中間評価を実施する。2035年に全体評価を行い、新たな施策の検討につなげる。
ロードマップに基づき、WBGT33℃以上での作業中止の徹底や連続休暇制度導入を推進することで、酷暑期の安全性向上につながる他、建設業のイメージ向上や新規入職者の獲得、技能労働者の処遇改善や定着率向上に寄与することが期待される。
今後は包括的酷暑対策について関係機関や協力会社との協議や連携を強化する他、発注者との工期や契約条件への反映についても協議を進める。また、科学的データの蓄積と効果検証に基づく対策の高度化を図り、制度や仕組みの改善を進める。DX/ICTの活用、対策に適した設備機器の積極導入も含めて取り組みを拡充する。
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