オフィスのトイレは、本来の機能以外に利用目的も多種多様だ。プレゼン準備や瞑想、鏡で身だしなみを整えるといった用途にも使われている。PYNTでは性別などの属性ではなく、用途で空間を分けた新しいトイレの在り方を提案している。
一例として、メイク直しのために鏡の左右に複数の電球を配した“女優ミラー”を用意。リフレッシュや集中などの用途ごとに、照明の調色や香りを変えた個室も設置している。
PYNTの施設を巡るオフィスツアーの後は、MSU学生が米国の災害対応状況についてプレゼンした。
ミシガン州で発生する主な自然災害(竜巻、冬の嵐、洪水)に対して、米国の州や郡、地方自治体は、階層的な対応体制を取っている。災害の規模や緊急度に応じ、対応する主体が段階的に上部組織に上がっていく仕組みだ。
具体的には、災害の発生時に現場に駆けつけるのは現地(市町村レベル)の警察や消防、救急のスタッフだ。彼らが現場の状況を判断し、事態が深刻であれば対応の主体を上位の郡レベルに移す。さらに、地方自治体の対応能力を超えたと判断されれば、州レベルに移して対処にあたる。
他にも、災害後72時間以内の安定化を目指す「コミュニティーライフライン」の概念やMSU独自の緊急事態管理プラットフォームも紹介した。プラットフォームには、安全やコンプライアンスに関するトレーニングを追跡して管理するための学習管理システム「Ability LMS」、大学の公共安全ツールとなるモバイルアプリ「SafeMSU App」、MSUの全教職員が利用できるオンライン学習プラットフォーム「elevateU」が用意されている。
モバイルアプリのSafeMSU Appは、緊急時のリソースへのアクセス、通報/報告システムを統合。万一のときに学生や教職員が手元で即座に安全情報を取得し、即行動に移せるように設計されている。
elevateUのプラットフォーム上では、災害対応だけでなく、危機管理に不可欠なコミュニケーション能力、変化への適応力、パフォーマンスの向上といったソフトスキルの習得も支援する。
また、こうしたプラットフォームを活用して実施する「重大インシデント管理(CIM)トレーニング」も、大学独自の重要なプログラムだ。海外派遣プログラムのリーダーや学生寮の職員など、キャンパスの安全と運営に責任を持つ「重要スタッフ(Critical Staff)」に義務付けられているという。
日建設計での視察を終えて、参加した学生からは、防災レジリエンスに対する新たな気付きが得られたとの感想が寄せられた。
その一部を紹介すると、航空宇宙工学を専攻するAnja McCoyさんは、「地震を体感するのは初めてで非常に驚いた。免震システムがある場合とない場合での揺れの違いをVRで直感的に理解できた。エンジニアリングがいかに人々の安心を守るのかを実感し、日建設計のクリエイティブなアプローチは素晴らしいと感じた」と話した。
土木工学専攻のJustin Allisonさんは、「日本の高度な耐震技術だけでなく、PYNT東京のオフィスで見られたリサイクル素材の活用やサステナビリティーへの意識の高さに感銘を受けた。歩行中に地震が起きた際のリスクなど、より現実的な視点でインフラの安全性を考える貴重な機会になった」と感想を述べた。
日建設計と東大、地震後の建物の蓄積ダメージを正確に把握できるシステムを共同開発
中学生がパスタとマシュマロで建築設計の楽しさに触れる、日建設計のワークショップ
明大 生田新校舎で挑戦した日建設計の設計BIM 基本計画から実施設計まで「BIMで考える、BIMと考える」
日建設計が病院設計で試みた“BIMのデジタルリレー”
“新国立競技場”設計BIMの実践がArchicad新機能開発のヒントに!日建設計とグラフィソフトジャパンの挑戦
難病を抱えながら設計者として働く「RDワーカー」のリアル 日建設計がNPO法人とシンポジウム
次の「大地震」に建設ICTで備える!建設業ができる日常の延長線上にある防災
万博の迎賓館や日本館を最新技術「3DGS」で解剖 日建設計が「東京建築祭2026」で公開Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10