日建設計は米ミシガン州立大学の学生を迎え、災害レジリエンスをテーマにした企業訪問プログラムを実施した。学生らはヴァーチャル地震体験システム「SYNCVR」をはじめ、女優ミラーを備えるトイレやキノコの皮でできたテーブルなどアイデアが至る所に詰まった共創スペース「PYNT東京」を視察。地震大国日本の建築設計事務所が有する最先端技術と、クリエイティブのゲンバに触れ、エンジニアの卵たちに新たな気付きを与えた。
日建設計は2026年5月14日、米国ミシガン州立大学(Michigan State University:MSU)から工学系を専攻する学生約30人を東京都千代田区飯田橋の東京本社に迎え、「災害レジリエンス」と「BCP(事業継続計画)」を軸とした企業訪問プログラムを実施した。
当日は、地震の少ないミシガン州から訪れたエンジニア志望の学生に対し、日建設計が培ってきた構造設計や各種テクノロジーを社会に実装するための取り組みを紹介。ヴァーチャル地震体験システムによる大地震の再現、共創を目的にオフィスの概念を捉え直した日建設計東京ビル3階にあるワークプレース「PYNT(ピント)東京」の見学やディスカッションを通じ、都市の安全を守るレジリエンスの本質を問い直す機会となった。
プログラムは、日建設計 構造エンジニアリンググループ ダイレクター 福島孝志氏による学生に向けた英語のプレゼンテーションからスタート。テーマは、「Engineering Resilience(エンジニアリング レジリエンス:テクノロジーはいかに社会と出会い、都市を地震から守るか)」だ。
福島氏は「日本は世界で最も進んだ耐震工学の技術を保有しているが、なぜ依然として地震による甚大な被害を受けるのか」という問いを学生たちに投げかけた。日本は4つのプレートの境界に位置し、世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約20%が集中する“地震大国”だ。日建設計は125年以上の歴史の中で、東京スカイツリーに代表される象徴的なプロジェクトを手掛けてきた。しかし、それは設計技術だけで成し遂げられたものではない。
福島氏は「建物そのものを強くするだけでは、レジリエンスを備えた都市は実現できない。真のレジリエンスとは、エンジニアリングの知識を意思決定者や社会全体と結び付ける『テクノロジーとデザイン、そして対話の融合』だ」との考えを示した。
その具体的な解決策として、建物の計画から復旧までをカバーする「SYNCVR(シンクブイアール)」と「NSmos(地震時建物被災度判定システム)」、「ダイレクト モニタリング」の3種類で構成する「レジリエンス支援サービス」を紹介した。
SYNCVRは、日建設計が開発した地震の揺れをVRでリアルに体感できるヴァーチャル地震体験システムだ。耐震性能の設計時に、関係者間で体感的に検討するのに役立つ。NSmosは、災害発生直後に建物内に設置した加速度計で、被災度を即時判定するシステムだ。ダイレクト モニタリングは被災後の復旧時に、歪みゲージが鉄骨部材の累積損傷を測定する。
福島氏は「ビルオーナーがリスクを正しく理解し、適切な投資判断ができるように支援することこそが、エンジニアの次の挑戦だ」と意図を説明した。
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