戦略的パートナーシップを締結して、Archicadの機能向上に努めてきた日建設計とグラフィソフトジャパン。その協働の歩みと、新機能開発にもつながる日建設計のBIM活用術を探った。
グラフィソフトジャパンが開催したオンラインイベント「Building Together Japan 2022」のうち、日建設計は、設計部門 設計グループ ダイレクターアーキテクト 恩田聡氏と、同部門 デジタルデザイングループ BIMマネジメント室 石田憲氏が登壇し、「日建設計 戦略的パートナーシップの歩み×BIMによる設計の変化」と題して講演した。
はじめに石田氏が、日建設計とグラフィソフトジャパンの戦略的パートナーシップの歩みを振り返った。
日建設計とグラフィソフトジャパンは、2013年にBIM推進のための戦略的パートナーシップ契約を締結し、Archicadに実装する新機能の開発に乗り出した。日建設計は既に2012年の新国立競技場基本構想国際デザイン競技(新国立競技場のデザインコンペ)の設計でArchicadを使用しており、「その過程で明らかになったソフトウェアへの要望とノウハウをもとに、理想のBIMワークフロー実現を目指したBIMスペシャリストとBIM開発者との共同作業がスタートした」と、石田氏は当時の状況を説明した。石田氏自身は、2017年よりこの戦略的パートナーシップのプロジェクトに参加している。
続いて石田氏は、これまで約10年間に両社の協働によってArchicadに実装された機能を整理し、「今のArchicadのBIMソフトとしての評価の礎となる機能には、両社の協働から生まれたものが多いことに改めて驚かされた」と協働の成果を強調した。特に「階段/手すりツール」「開口ツール」「ラベルの自動テキスト」「表現の上書き」「Grasshopper Live Connection」などは、Archicadユーザーが普段から頻回に使用する機能だと評価する。
もちろん石田氏自身も、数々の新機能開発に貢献している。例えば、Excelと連携してホットリンクモジュールのプロパティを更新する機能をはじめ、プロパティマネジャーのオプションセット値をExcelファイル上でもプルダウンで選べる機能、断面図のゾーンの色とラベルが表現できるアドオンなどは、石田氏が開発に携わった機能だ。
石田氏は、今後も引き続き両社で協働し、Archicadの機能を強化していきたいとの思いを表明し、発表を終えた。
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