飯田氏は、最新バージョン「Archicad 27」の新機能を「デザイン」「ドキュメンテーション」「ビジュアライゼーション」「コラボレーション」の各キーワードで解説した。
デザインは、「デザインオプション」や「距離ガイド」などの新たなツールを実装。Forwardツールでは「コマンド検索」と、ドア窓複数窓貫通の改善などを行った。
ドキュメンテーションは、「一覧表」と「属性管理」の機能を改良し、Forwardツールは日本ユーザーからの要望が多かったJWCADのファイル形式「JWWの入出力」をブラッシュアップ。
ビジュアライゼーションは、3次元ウィンドウでレンダリング品質の絵が見られる機能に加え、要望が多かったFBX形式との連携も可能にした。Archicadのリアルタイムレンダリングプラグイン「Enscape」との連携強化が図られ、リアルタイムビジュアライゼーションをより快適に作成できるようになった。また、Forwardツールには「インスタント材質」を追加した。
コラボレーションでは、BIMの世界標準IFC4への対応、構造ワークフローの強化、設備機能(MEPモデラー)などの変更が施された。
Archicad以外のアップデートでは、BIMxは課題管理やラベルの機能強化を図り、BIMcloudはセキュリティ面を見直した。さらにNYKシステムズの建築設備専用CAD「Rebro(レブロ)」からBIMcloudに直接IFCをアップできるようになり、ワークフローに設備設計をそのまま取り込むことが可能になった。
最後に飯田氏は、今後の開発方針について、まずデザインは、効率的な設計ツール、合理化されたワークフロー、持続可能な設計、高度なプロジェクト管理の各分野で検討を進めていくとした。設計プロセスへのAI活用や属性の集中管理、ArchicadとGrasshopper(グラスホッパー)との連携強化、フレキシブルなドアや窓のツールなどの開発に着手し、既にプロトタイプが完成しているものもある。
まだアイデアレベルだが、仕上げや下地、躯体といったスキンレベルでのモデリング機能、各フェーズに合ったデータを扱えるプロジェクトフェージング、ゾーンベースのデザインワークフローなども検討している。「機能と操作性やパフォーマンスとのバランスを取りながら、Archicadの一貫性を保ちつつ、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上につなげたい」(飯田氏)。
コラボレートについては、BIMcloudでは、IFCやPDFを閲覧できるビュワー機能を現在開発中。他社の共通データ環境(CDE)との同期サービスやレンダリングといったArchicadのタスクを、BIMcloudで処理するサービスなども視野に入っている。
BIMxでは、BCFサーバを介した課題管理プロセスの強化やモデルフィルタリングに加え、BIMxからのPDFエクスポート、ビジュアルやクオリティーの向上、設計初期にBIMxとArchicadのデータ同期といった新規サービスを構想している。
最後に飯田氏は、「当社はサービスや製品の提供だけでなく、どのようにすれば素晴らしい建築をつくることをサポートできるかを考えている。Archicadの開発は、4月にパブリックロードマップを公表し、7月にテクノロジープレビューでユーザーにテストしてもらってから製品をリリースするという段取りで進めている。今後もユーザーの声をサービスや製品の開発に反映していきたい」と意気込みを語り、講演を締め括った。
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