BIMの恩恵を受けられるのは、大規模建築物を扱うゼネコンだけではない!久保田章敬建築研究所の国土交通省BIMモデル事業への取り組みから、中小規模建築物の設計に携わるアトリエ系設計事務所でのBIM活用の実例を紹介する。
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本稿では、「Building Together Japan 2022」で、「アトリエ系事務所のBIM活用現状と未来に向けた連携について」と題し、久保田章敬建築研究所 代表 久保田章敬氏と十川昌氏、峰設計 代表取締役 崔峰云氏が登壇したセッションをセミナーレポートとして振り返る。3者は、国土交通省のBIMモデル事業に採択されたプロジェクトの解説とBIM活用の展望について語った。
講演では最初に、「国土交通省のBIMモデル事業に採択されたチームによる実例紹介と今後の展望」のタイトルで、久保田氏が講演。「Archicadの導入経緯と活用方法」「Archicadの活用事例」「国土交通省によるBIMモデル事業」の3テーマを柱に、自社の設計BIMへの試みをプレゼンした。
久保田章敬建築研究所がはじめに、ArchiCADを業務に導入したのは2011年。共同住宅の計画が増え始めたことがきっかけで、それまでは2DCAD「Jw_cad」を使って設計していたが、ボリュームチェック用に日影計算用ソフト「ADS」とArchicad soloを1本ずつ購入した。
ただ、Archicadを本格的に業務に活用し始めたのは2013年からだという。まずはパース作成やラフ案のプレゼンに、Archicadを使用。翌2014年には賃貸マンション設計に際して、Archicadを長年採用している友人の建築家に実施設計を依頼し、Archicadによる実施設計を事務所としてはじめて実体験することになる。同年には、3Dビュワー「BIMx」を使ったプレゼンも始めている。
2019年にはJw_cadからArchicadに切り替えて、ある住宅プロジェクトの基本設計・実施設計・現場管理までをワンストップで実施。その後、2021年からは、BIMパートナー事務所として峰設計代を迎え入れ、同じ事務所とのコラボにより、実践設計でクラウドサーバ「BIM cloud」を体験する。
ちなみにBIMパートナーとは、「BIMを用いた図面やモデルの作成、BIMの運用方法などをサポートしながら、チーム一丸となってBIM活用を進めるパートナー」(峰設計 崔氏)のこと。
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