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» 2023年07月27日 13時25分 公開

BIMはゼネコンだけじゃない!アトリエ系設計事務所が国交省モデル事業で挑んだ意匠・構造・設備のArchicad連携Building Together Japan 2022(1/5 ページ)

BIMの恩恵を受けられるのは、大規模建築物を扱うゼネコンだけではない!久保田章敬建築研究所の国土交通省BIMモデル事業への取り組みから、中小規模建築物の設計に携わるアトリエ系設計事務所でのBIM活用の実例を紹介する。

[加藤泰朗BUILT]

 本稿では、「Building Together Japan 2022」で、「アトリエ系事務所のBIM活用現状と未来に向けた連携について」と題し、久保田章敬建築研究所 代表 久保田章敬氏と十川昌氏、峰設計 代表取締役 崔峰云氏が登壇したセッションをセミナーレポートとして振り返る。3者は、国土交通省のBIMモデル事業に採択されたプロジェクトの解説とBIM活用の展望について語った。

アトリエ系設計事務所のBIMへの取り組み

 講演では最初に、「国土交通省のBIMモデル事業に採択されたチームによる実例紹介と今後の展望」のタイトルで、久保田氏が講演。「Archicadの導入経緯と活用方法」「Archicadの活用事例」「国土交通省によるBIMモデル事業」の3テーマを柱に、自社の設計BIMへの試みをプレゼンした。

久保田章敬建築研究所代表 久保田章敬氏 久保田章敬建築研究所代表 久保田章敬氏

 久保田章敬建築研究所がはじめに、ArchiCADを業務に導入したのは2011年。共同住宅の計画が増え始めたことがきっかけで、それまでは2DCAD「Jw_cad」を使って設計していたが、ボリュームチェック用に日影計算用ソフト「ADS」とArchicad soloを1本ずつ購入した。

 ただ、Archicadを本格的に業務に活用し始めたのは2013年からだという。まずはパース作成やラフ案のプレゼンに、Archicadを使用。翌2014年には賃貸マンション設計に際して、Archicadを長年採用している友人の建築家に実施設計を依頼し、Archicadによる実施設計を事務所としてはじめて実体験することになる。同年には、3Dビュワー「BIMx」を使ったプレゼンも始めている。

 2019年にはJw_cadからArchicadに切り替えて、ある住宅プロジェクトの基本設計・実施設計・現場管理までをワンストップで実施。その後、2021年からは、BIMパートナー事務所として峰設計代を迎え入れ、同じ事務所とのコラボにより、実践設計でクラウドサーバ「BIM cloud」を体験する。

 ちなみにBIMパートナーとは、「BIMを用いた図面やモデルの作成、BIMの運用方法などをサポートしながら、チーム一丸となってBIM活用を進めるパートナー」(峰設計 崔氏)のこと。

久保田章敬建築研究所のArchicad導入・活用の流れ 久保田章敬建築研究所のArchicad導入・活用の流れ

 久保田氏はこれまでの経験を踏まえ、アトリエ系設計事務所がArchicadのスキルを習得するためには、次の3つことが大切だと話す。すなわち、「事務所内で動いている計画案で実践すること」「Archicadと2DCADを併用すること」「Archicadを採用している設計事務所やBIMパートナー事務所と共同作業を行うこと」だ。

 なかでも、これからArchicadの導入を考えているか、または導入したがまだ使い慣れていない事務所にとっては、まず事務所内で動いている計画案で実践することが大切と久保田氏は強調する。なぜならば、「計画には締め切りがあるため、使う側の習得への真剣みが強まり、学びの効果が大きくなる」からだ。

 しかし、久保田氏は、最初から設計ツールをArchicadに一本化する必要はないとも口にする。「2DCADから3DCADへの移行には大きなハードルがある。全てをArchicadで設計するのが最終目標でも、はじめは2DCADと併用しながらの方が、気が楽だしリスクも少ない」。

 そして、活用スキル習得の近道は、Archicadを既に採用している設計事務所やBIMパートナー事務所と共同作業を行うことだと推奨する。「プロジェクトを通じて、彼らがArchicadをどのように操作し、活用しているのかを学べるのは、非常に大切だと思う」と考えているためだ。

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