清水建設の「NOVARE Archives」は、オープンイノベーション拠点「温故創新の森 NOVARE」に設けられた歴史資料館だ。220年の歩みを通じて培われた技術と精神を紹介し、企業の原点を伝えている。本稿では、清水建設におけるNOVARE Archivesや旧渋沢邸の位置付け、また資料館の展示内容を紹介する。
清水建設は2024年3月、自社の歴史を紹介する展示施設「NOVARE Archives(清水建設歴史資料館)」を開設した。資料館は「挑戦のシミズ」を展示コンセプトに掲げるアーカイブス(歴史の記録/公開施設)であり、清水建設のイノベーション拠点の一要素に位置付けられている。
館内では、江戸時代後期の1804(文化元)年に始まる歴史、今に至るまでに世に送り出した数々のプロジェクトを貴重な資料を通して紹介している。また、ゆかりの深い渋沢栄一の居宅として唯一現存する「旧渋沢邸」も、同じ敷地内に移築し、公開している。
NOVARE Archivesは、人財育成やイノベーション創出を目的に清水建設が2023年に新設した「温故創新の森NOVARE」の敷地南側に位置する。NOVAREは人財育成やイノベーション創出を目的に2023年に設置された拠点で、中核施設「NOVARE Hub」、技術開発拠点「NOVARE Lab 技術研究所 潮見ラボ」、人財育成や技術継承を担う「NOVARE Academy ものづくり至誠塾」、NOVARE Archives、旧渋沢邸の5つの施設から成る。
NOVARE Archivesは、一般的な企業ミュージアムのような対外的なPR施設とは異なる。「これまでの企業活動で蓄積した史料を公開し、ステークホルダーとのコミュニケーションの場とすることに重きを置いている」と、NOVARE Archives館長の宮田幹士氏は語る。
宮田氏はNOVAREの用地選定をはじめ、プロジェクトの立ち上げ段階から携わり、NOVAREの名付け親でもある。
清水建設の資料館がNOVAREに設置された理由について、宮田氏は「当社の信頼は、顧客の思いを基にゼロから建物を作り上げ、期待以上のものを提供することを繰り返して形作られてきた。先輩方が積み重ねてきた取り組みを若い社員や外部に知ってもらい、新しいイノベーションを起こす糧にしてもらうことが目的だ。そのために施設単独とするのではなく、イノベーション拠点の一要素とした。拠点内の施設が連携しあいながら、イノベーションを起こすことを狙っている」と説明する。
また、建造物が出来上がる過程を紹介することで、学生にものづくりの魅力を伝え、将来の建設業界の担い手になってほしいという願いも込められている。
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