デル・テクノロジーズの最新ワークステーションが「Archicad」の“設計BIM”に最適な理由建築ビジュアライゼーションに必要な設計環境の選び方

設計BIMでここのところ課題となっているのが、BIMソフトと各種ソフトを同時に動かす機会が増えたことで、どの程度の作業環境を整えるべきか、設計者自身で判断がつきにくくなっていることだ。

» 2022年09月29日 10時00分 公開
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 ハンガリーに本社を構えるGraphisoftが、まだPC黎明期の1984年に発売したBIMソフトウェア「Archicad」は、PC上で3D構造物をモデリングするというコンセプトの先進性で脚光を浴び、建築設計に革命をもたらした。

BIM利用の多様化により最適なWSの見極めが困難に

 それから約40年が経過し、日本法人グラフィソフトジャパンでカスタマーサクセス テクニカルサポートエンジニアを務める秋本遥氏は、「IFC形式などの中間ファイルを用いたBIMデータ連携や“OPEN BIM”のための機能強化により、意匠設計ソフトとして出発したArchicadは、今ではBIMのための統合基盤と呼べる存在にまで進化を遂げています」と話す。

 そのため、Archicadの設計領域での使い方も、現在進行形で多様化しているという。その代表格が、設計コンペや施主向けプレゼンでの「3Dビジュアライゼーション」の活用。建築プロジェクトの円滑遂行を目的とする関係者での共通理解や情報共有の重要性は周知の通りで、利用する3DCGはリアルなものほど望ましい。そのため、3Dゲームエンジンなどと連動した光や影をフォトリアルに表現するレイトレーシング処理や仮想空間で3Dモデルを体験するためのVR処理などが広く行われるようになった。

 こうしたなか、グラフィソフトジャパンが新たなBIM活用を支援すべく実施したのが、デル・テクノロジーズの最新モバイルワークステーション(WS)3機種「Dell Precision 5470」「Dell Precision 5570」「Dell Precision 5770」のBIM統合基盤としてのベンチマークテストだ。背景には、BIM利用の高度化に伴い、より高い性能や幅広い用途で、ユーザー側で最適なWSの見極めが一筋縄ではいかなくなっていることがある。

実機テストの結果が設計者のWS選びの材料となる

 「Archicadの開発元として当社は、WSの推奨構成を建設プロジェクトの規模別に明示しています。また、Archicadは旧式のWSでも、時間は要しますが処理可能なように製品設計されています」と語るのは、グラフィソフトジャパンでカスタマーサクセス BIMコンサルタントを務めるエミル・メイヤー氏。ただ、推奨スペックはあくまでArchicadのみの稼働を想定したもの。同一のWSで他のアプリ/ソフトも立ち上げ、連携させるとなると、別観点からの検証も必要になる。

 例えばグラフィックボードだ。Archicadは主にCPUでレンダリング処理を行い、単体ではグラフィックボードの大幅な強化は必要ないが、リアルタイムレンダリングなどのソフトとの連携となれば話は変わる。それらの大半はGPUで処理するため、高性能なグラフィックボードが不可欠。

グラフィソフトジャパン カスタマーサクセス テクニカルサポートエンジニア 秋本遥氏

 メモリに関しても、Archicadはさまざまな処理で大量のメモリを必要とするために、事前の大容量化が必須となる。こうした配慮を欠けば処理時間が長引き、そのことが各種作業やプレゼンでの建築ビジュアライゼーション利用に悪影響を与えることは明白だ。

 ただ悩ましいのが、Archicadの使い方は目的ごとに千差万別なため、推奨環境の一律な提示は現実では困難なこと。「とはいえ、顧客から作業環境についての問い合わせは増えています。ユーザーの要望に応えるべく、たどり着いたのが実機での検証です。WSに精通していない設計者にも、どの程度のWSを利用すればよいかの目安をテスト結果として提示できると考えました」(秋本氏)。

いずれの機種もBIMの統合基盤として問題ナシ!

 今回のベンチマークに用いたPrecision シリーズの5470、5570、5770の3機種はいずれも2022年4月発売で、高性能と携帯性の両立を図ったモバイルWSだ。CPUとして第12世代Intel Core i5/i7/i9、グラフィックボードとしてNVIDIA RTX A1000/A2000/A3000を選択でき、Archicadで必要な計算処理能力とレイトレーシングのための画像処理能力を高いレベルで実現している。それぞれ、14、15、17型ディスプレイを採用し、最大4TB SSDや64GB DDR5メモリを搭載したモデルも用意している。なお、比較に用いた旧モデルの「Dell Precision 5530」(15インチモバイルWS)は、CPUがCore i7 8850H、GPUがQuadro P2000、RAMが32GBの製品仕様。

NVIDIA RTX A1000を搭載した14インチモデル「Dell Precision 5470」

 果たして結果はどうだったのか?の問いに、「結論から言えば、極めて広大なメモリ空間を必要とする特殊な用途を除いて、いずれの機種でもBIMの統合基盤として問題なく、快適な利用ができました。逆に問題が生じる使い方を探すのにてこずりました(笑)」とメイヤー氏は笑顔で返す。

 4年前のWSと比較すれば性能差は段違い。ArchicadやEpic Gamesのビジュアライゼーションツール「Twinmotion」との連携によるDirectX 11での3Dモデルのリアルタイムレンダリングでは、従来機が26fpsだったのに対し、3機種は5470が36fps、 5570が52fps、5770が69fps。また、4K画像のレンダリングに要する時間も、それぞれ3分25秒、1分20秒、1分10秒と、旧モデル5530の5分51秒よりも高速化されている。

 「従来機はそもそもレイトレーシングに対応していません。そこで最新機ではあえて最高画質設定(パストレーサーモード)でGPUの負荷を高めてレンダリングしましたが、それでも最速4分15秒で処理を完了しました。また、古いマシンはCPUの発熱も最大で75度まで達しましたが、最新機ではCPUのコア増加とコア自体の能力向上で、CPU温度も60度ほどに抑えられています」(メイヤー氏)。

 もっとも、こうした結果も、CPUコア数が4から14、最大スレッド数も8から20と倍以上になるといったハード側の進化だけでなく、マルチコアの能力を引き出すArchicad側の製品設計の最適化があってのことである。

 なお、グラフィソフトジャパンではタワー型のWS「Dell Precision 3460スモールフォームファクター」「Dell Precision 3260コンパクト」のテストも合わせて実施した。その結果と比較しても、デル・テクノロジーズ製モバイルWSの能力の高さが理解できるはずだ。

タワーワークステーション「Dell Precision 3260コンパクト」でArchicadのBIMモデル動作確認
タワー型も含めた最新5機種と旧モデルのベンチマークでの比較。グラフ下の建築ビジュアライゼーションは、左がTwinmotionのNormal Render 4K、右はより高精細なパストレーサーモードでのレンダリング 提供:グラフィソフトジャパン

 ベンチマーク結果を踏まえた機種選びとしては、ArchicadやTwinmotionのレンダリングやプレゼンには、大画面のDell Precision 5770+A3000が最適。Archicadで設計作業が中心の場合はDell Precision 5570、現場でのArchicadのBIMモデル確認や図面編集には、軽量かつタッチペンも利用できるDell Precision 5470をそれぞれオススメしたい。

BIMの可能性を広げる多彩な機能

 メイヤー氏が指摘した最新機でも対応が困難な用途とは、極めて大量のメモリでの大規模計算が伴う環境シミュレーションや点群データの解析アプリなどとの連携を指す。前者は環境意識の高まりを背景としたソーラーパネルの最適な配置場所の検討、後者の点群データはリノベーションなどを目的とした躯体の精緻な把握などで、これから利用が本格化すると見込まれている。「ただし、そこでの処理の遅さも前述のテスト環境が前提です。アプリ特性を踏まえたメモリの大容量化などで十分に対応できることは既に確認済み」(メイヤー氏)。

 テストによって性能の高さが証明された一方、メイヤー氏は実業務での各種機能の有効性も実感している。その1つが“静音性”。3DビジュアライゼーションはWSに大きな負荷をかけ、CPU冷却のためにファンの音が耳障りになりがちだが、最新機では従来機よりはるかに音の発生が抑えられている。

グラフィソフトジャパン カスタマーサクセス BIMコンサルタント エミル・メイヤー氏

 「3Dビジュアライゼーションでは、ゲーミングPCが用いられることも多いですが、発する音の大きさがプレゼンの妨げになることも珍しくありません。最新WSはその点まで考慮されているというのが、実際に使ってみての印象です。本体デザインも洗練されており、設計提案時にも好印象を持たれるでしょう」(メイヤー氏)。

 WS上の設定は何らかの要因で変わり、対応に苦労することもしばしば。複数アプリを併用する環境であればなおさらだが、最新機にはAIでアプリやオーディオ通話を自動最適化する「Dell Optimizer for Precision」を搭載。さらに外部からの不正アクセスを検出する「シャーシイントルージョンセンサー」も備え、建設分野の機密データとなるBIMデータのセキュリティも確保されている。

“Dell Precision×Archicad”がBIM活用の最良の選択肢

 建設DXの推進に向け、あらゆる企業でBIM活用が待ったなしの状況にある。BIMには全ての属性情報がリンクしており、3Dモデルに修正を加えれば、あらゆる図面や面積表、数量表などに関するデータも自動修正される。これまでは大規模プロジェクトほど、関係者間の情報共有が難しく、設計と施工や図面と現場の齟齬(そご)が生まれ、手戻りなどのトラブルの一因になっていたが、こうした問題もBIMで一掃できる。各種データを活用することで、例えば建物全体で必要なコンクリート量を即座に積算できるなど、業務効率性も格段に高められる。

 「利益率を高めるには無駄の排除と効率性の向上が欠かせず、そこでBIMは強力な武器と成り得る。ただ、使い勝手が悪くては、BIMメリットの享受は困難です。その点からも、今回の検証で確認された高い性能や機能性を持つ、Dell Precisionシリーズの5470、5570、5770は、BIM活用の高度化に向けた最良の選択肢といえるでしょう」(メイヤー氏)。

 グラフィソフトジャパンでは今後も、Archicadの強みである使い勝手に磨きをかけていく計画だ。「無駄を省き作業効率が改善されることで、浮いた時間を高品質なデザインや複数の設計案作成に回せるような環境を提供できれば」(メイヤー氏)。

 BIMによる受注拡大や、クリエイティブ機会の創出、設計品質の向上、働き方改革にもつながる設計環境の実現、さらにXRや点群など新たな用途の開拓で、ArchicadとDell Precisionシリーズはベストプラクティスとして建設業界のDXを力強く後押ししてくれるに違いない。

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提供:デル・テクノロジーズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:BUILT 編集部/掲載内容有効期限:2022年11月8日