グラフィソフトジャパンは、大規模オンラインイベント「Building Together Japan 2022」を開催し、「Archicad」の最新版プレゼンをはじめ、BIMに関する総計20ものセッションが繰り広げられた。
BIMソフトウェア「Archicad」で知られるグラフィソフトジャパンは2022年10月、大規模オンラインイベント「Building Together Japan 2022」を開催した。イベントでは同年10月11日にリリースされた最新版「Archicad 26日本語版」の国内初となるプレゼンテーションの他、BIMに関わる総計20余りのセッションが用意され、そのかつてない刺激的な内容とボリュームが参加者を圧倒した。本稿では、ハンガリー本社のGRAPHISOFTによるセッションなど、イベント全体の概要をレポート形式で紹介していく。
ハンガリーのソフトウェアベンダーGRAPHISOFTの主力製品「Archicad」は、直感的な操作性と質の高いビジュアライゼーション機能を備えたBIM対応の建築3次元CAD。既に世界の建築業界へ広く普及し、日本でも1994年の発売以来30年近い歴史を持っている。特に近年は建築業界の新潮流であるBIMをけん引するツールとして多くのユーザーを獲得している。
Archicadを開発したGRAPHISOFTの日本支社グラフィソフトジャパンでは、毎年さまざまなユーザー向けイベントを開催しており、なかでも規模最大なのが、年に一度の「Building Together Japan」となる。
ライブ発信冒頭では、イベント概要に続き、代表取締役社長のトロム・ペーテル氏が登壇した。ペーテル氏は「グラフィソフトUPDATE」と題し、GraphisoftとArchicadに関わる最新情報を紹介。Graphisoftが創業40周年を迎えことにちなみ、BIMのパイオニアとして同社が歩んできた40年のマイルストーンを辿(たど)った。
1984年のArchicad1.0リリースからTeamworkやBIM cloud、BIMxビュワーなど、同社が作り出したBIMツールを連携させることで生まれる高度なBIMワークフローがどのような効果をもたらすのか、視聴者に問いかけた。その答えとして、ペーテル氏は「Empowers teams to create great architecture(素晴らしい建築を創造するチームに力を与える)」との同社の企業理念を提示した。
基調講演では、東海林建築設計事務所 CEOの建築家・東海林健氏が登壇。「新たな風景を新潟からつくる」をテーマに、意欲的な活動を続ける東海林氏は「ひとつ手前から、もうひとつから、建築を考える」と題し、自身の建築への視点について語った。タイトルの「ひとつ手前から…」は「作る」以前の「より深く知ること」を重視し、対話的で批評的かつ分析的であることを基本姿勢とする同社のデザインフィロソフィを示す言葉。
東海林氏は手掛けたプロジェクトを次々紹介し、ユニークだが明確なコンセプトに基づいた挑戦的な取り組みの数々を説明した。建築は「現象のようなもの」と、東海林氏は語る。その手前から考えることで、「建築することを超え、社会や相手を受け入れながら、もうひとつの可能性を提示し続けていきたい」と口にした。
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