清水建設、大和ハウス工業、大林組が“BIMの先に”を議論 共通データ環境はAI基盤になるか?BIMだけではない、AI基盤にもなるCDE(2/2 ページ)

» 2026年04月17日 15時46分 公開
[川本鉄馬BUILT]
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「AIに乗るスピード」と「土台づくり」の両立には何が必要?

大和ハウス工業 東京本社 技術本部 技術戦略部 技術戦略第1室 室長 宮内尊彰氏 大和ハウス工業 東京本社 技術本部 技術戦略部 技術戦略第1室 室長 宮内尊彰氏

 ディスカッションで熱を帯びたのは、AIへの向き合い方だ。大和ハウスの宮内氏は、検査画像の合否推定やマスターデータ整備によるAI活用を挙げ、大林組の飯田氏はスケッチからの3Dモデル生成や構造設計の自動化支援といった“社内知の形式知化×AI”の試行を紹介した。

 宮内氏は昨今のAIの進化スピードを「ロケット級」と表現し、その速度に乗る“攻め”の姿勢を示した上で、「データは束ねて取り出しやすくし、目的別にAIを活用するための発想が要る」とした。

 清水建設の三戸氏は「DX基盤の上にAI基盤がある」と主張し、「生成AIに性急に飛びついても、業務で正しいデータが自然にたまる仕組みがなければ再現性はない。だからこそBIMとCDEを核にプロジェクトをデータ化し、原価などの社内データベースとも連携させてからAIを投入すべきだ」と提言した。

 飯田氏は「BIMは“インフォメーション”で、AIに与えるには“データベース”化が欠かせない。活用の標準化と評価軸の言語化、すなわち“会社の中のルール”を見える化することが、AIの実効性を底上げする」と述べた。

 3者の論をまとめると、AIを扱うための基盤(構造化データ×CDE×運用標準)を整えつつ、用途が明確なポイントからAIを攻めに使うのが重要となる。

サステナビリティーは「コスト」ではなく「事業条件」

 もう1つの焦点は、脱炭素を軸にした設計・生産の再設計だ。飯田氏は、木造の単純置換にとどまらず、ユニット化や設計〜製作〜施工の一気通貫での連携を同時に進めることで、生産性の向上とCO2削減を両立させる取り組みが動き出していると説明。サステナビリティーの観点でムダを削減することが、工場で事前に部材を製作する「IC(Industrialized Construction:建築の工場生産化)」にもつながるというわけだ。

 宮内氏は、「DfMA(工業化建築)×IC×CDEの三位一体で“作り方”を変えない限り、サステナビリティーの本質には届かない」と訴える。海外と日本の熱量差を肌で感じた経験から、「会社レベルのデータ/ソリューション戦略が標準化を整える役割を担うべきだ」と提案した。

清水建設 生産技術本部 建設DX基盤部 部長 三戸景資氏 清水建設 生産技術本部 建設DX基盤部 部長 三戸景資氏

 三戸氏は、全過程(ライフサイクル)でCO2を定量的に評価する「LCA(ライフサイクルアセスメント)」の視点から、「木材利用は再植林とのセットで循環を設計して初めて意味を持つ。将来は、LCAの開示から削減へと政策が進むだろう。その時に備え、今からデータ整備と算定運用を作り込む必要がある」と強調した。

 ここでも鍵となるのはデータだ。材料や工法、工程をLCAの物差しで選択できるように、設計の早い段階からデータを回せる仕組みをつくることが欠かせない。サステナビリティーは、プロジェクトの基本設計と同様に扱うべきKPIだという点で3者は合意した。

建設業のサステナビリティーへのチャレンジ 建設業のサステナビリティーへのチャレンジ
モデレータを務めたオートデスク アカウント営業本部 副本部長 戦略担当 稲岡俊浩氏 モデレータを務めたオートデスク アカウント営業本部 副本部長 戦略担当 稲岡俊浩氏

 AIにしろ、サステナビリティーにしろ、効果的に活用して目に見える結果を出すには、リテラシーが求められる。三戸氏は、「海外の現場で現場所長が自らツールを選び、人員30%削減の目標を背負って運用設計する姿に衝撃を受けた」と話す。専門部署任せではなく、現場が意思を持ってツールを選び運用する力が成果を分ける。このことはAIでもCDEの構築でも同じだ。

 特にAIは、正しいデータを与えれば、目指す結果が得られる。しかし、日本ではそのようなリテラシーが育っていない。三戸氏は現在の“AIバブル”のような状況に触れ、リテラシーを持っていない人が、役に立つ成果を出せない業者に依頼しても。「お金を持ち逃げされて終わる」と警鐘を鳴らした。

 パネルディスカッションの後半では、パネリストがオートデスクのACCをはじめとするソリューションへの要望や期待などを語らい合った。

左から、モデレータのオートデスク アカウント営業本部 副本部長 戦略担当 稲岡俊浩氏、大林組 DX本部 高度デジタルソリューションセンター 所長 飯田邦博氏、大和ハウス工業 東京本社 技術本部 技術戦略部 技術戦略第1室 室長 宮内尊彰氏、清水建設 生産技術本部 建設DX基盤部 部長 三戸景資氏 左から、モデレータのオートデスク アカウント営業本部 副本部長 戦略担当 稲岡俊浩氏、大林組 DX本部 高度デジタルソリューションセンター 所長 飯田邦博氏、大和ハウス工業 東京本社 技術本部 技術戦略部 技術戦略第1室 室長 宮内尊彰氏、清水建設 生産技術本部 建設DX基盤部 部長 三戸景資氏 写真は全て筆者撮影
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