システム天井を1マス単位で木質化 パナソニックEWと三菱地所設計が「国産木材格子ルーバー」開発木造/木質化(1/3 ページ)

既存のシステム天井を活用し、オフィスを木質化する新たな試みが始まった。パナソニック エレクトリックワークスと三菱地所設計が共同開発した国産木材格子ルーバーは、画一的になりがちなオフィス空間の意匠性を高めつつ森林資源の循環にも貢献。ホテルや学校などオフィス以外への展開も見据え、2027年以降に工事完了予定の物件に特注対応として提案を進める。

» 2026年05月28日 16時42分 公開
[黒岩裕子BUILT]

 パナソニック エレクトリックワークス(パナソニックEW)と三菱地所設計は、グリッド型システム天井向けの「国産木材格子ルーバー」を共同開発した。照明計画と一体で展開することで、木の表情を引き立てながら用途に適した光環境を実現し、オフィスなどの空間価値向上につなげる。2027年以降に工事完了予定の物件に特注対応として提案し、今後は製品改良や販売ルート整備も進める。

 両者は2026年4月24日に都内で開催した説明会で、共同開発の背景や製品の特徴、今後の展開方針を説明した。

パナソニック本社に設置した国産木材格子ルーバー。照明と組み合わせることで木材の表情を引き立てる 写真は全て筆者撮影

内装から超高層まで木材利用の裾野が広がる

三菱地所設計 海老澤氏

 今回の取り組みでは、パナソニックEWのシステム天井と三菱地所設計が進める木材活用の取り組みを掛け合わせることで、資源循環とウェルビーイングの両立を図る。

 三菱地所設計は2016年から中高層建築での木材活用を本格的に推進し、これまでにCLTを床構造材に採用した集合住宅やオフィスビル、木造/RCのハイブリッド構造によるホテルなどを手掛けてきた。2028年竣工予定の「東京海上グループ新本店ビル」は、三菱地所設計がRenzo Piano Building Workshopとともに設計を手掛ける高さ約100メートルの超高層ビルで、柱や床などの構造部材に国産木材を採用する計画だ。

 三菱地所設計 R&D推進部 木質建築ラボ 兼 構造設計部 チーフエンジニア 海老澤渉氏は木材活用推進の背景について「日本は森林蓄積量が世界有数の規模に達しており、年間6000万〜7000万立方メートル程度の木材が成長している。一方で利用量は半分にも満たない。適切に伐採、活用しなければ森林循環が停滞してしまう」と指摘する。近年では森林資源の有効利用に加え、脱炭素対応を背景に木造建築や木質化への注目が高まっている。

 しかし強度に優れた構造用の木材を使用するだけではそれ以外の木を活用しきれず、加工時には端材も発生する。三菱地所設計では構造材に適さない木材も仕上げ材や内装材として有効利用し、木材利用の裾野を広げてきた。

 海老澤氏は、「環境や国土保全の観点で『木を使わなくてはいけないから使う』のではなく、今後は『木を使った方が建築や空間の価値向上につながる』という段階に移行していく」と説明し、木材の積極的な導入が利用者のウェルビーイングや生産性向上、地方創生や森林維持、カーボンニュートラルなど多様な課題解決につながるとの考えを示した。

 さらに「日本では住宅/非住宅を合わせて毎年約1億平方メートルの床が新しく生まれ、6階建て以上の非住宅に絞っても1800万平方メートルにのぼる。床と同じだけ天井があるため、木質化の余地はまだまだある。建物の木造化だけにとらわれず、既存のシステム天井を活用することで、新たな木材需要を生み出し、森林資源の循環につなげたい。システム天井のパッケージを持つパナソニックEWと組むことで、手軽に選べ、誰もが使いやすいプロダクトとして展開できる」と展望を語った。

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