グラフィソフトのイベント「Graphisoft IGNITE Japan 2025」で、石本建築事務所が「オープンデザインの実践と探求」をテーマに講演した。大阪・関西万博でのシグネチャーパビリオンのテーマ具現化や新庁舎での光環境シミュレーションなど、Archicadで複雑な意匠を実現できた「実践」と「探求」の独自の設計BIMアプローチを紹介した。
BIMソフトウェアの最新版「Archicad 29」を紹介するオンラインイベント「Graphisoft IGNITE Japan 2025」。主催のグラフィソフトジャパンが多彩な機能を披露した「日本語デモンストレーション」、アーキテクト・ディベロッパーのセッションに続き、「オープンデザインの実践と探求」のテーマで壇上に上がったのは、石本建築事務所 設計部門 建築グループ 兼 Digital Innovation Group リーダーの菅原雄一郎氏と、長田純一氏。自社で行っているBIM関連事業を「実践」と、BIMのさらなる可能性を追う「探究」に分け、それぞれの取り組み内容を事例とともに語り尽くした。
菅原氏は設計事務所の在り方について、「単に図面を描くだけの場ではない。顧客と連携し合って未来を共創するイノベーションの場だと捉えている」と持論を展開した。
その実現のために、BIMの役割は多岐にわたる。石本建築事務所ではBIM活用のアプローチを「実践」と「探究」に区分し、前者を「プラットフォームビルド」「ソフト/ハードウェアメンテナンス」「教育/研修」「プロジェクトイノベーション」「プロモーション/リサーチ」の5つ、後者を「DX」「IX」「GX」「AiX」の4つに細分化している。菅原氏は「実践と探求の両輪を循環させることこそが、設計の文化を醸成し、当社の成長にもつながっていく」とその意図を語る。
菅原氏は、実践の5項目のうち、プラットフォームビルドについて、「3DのBIMモデルを用いた各セクションのデザイン共有やレビューを指す言葉だ」とした。「3Dモデルに情報を取り込み、それをどう活用していくかの視点を常に持つことが重要だ。顧客とのコミュニケーションを通して支援するとともに、課題などをフィードバックして改善に努めていく姿勢が求められる」と強調した。
ソフト/ハードウェアメンテナンスは、新しいシステムがリリースされたり、ソフトウェアがアップデートされたりする際に、ユーザービリティーの検証やAI活用を模索する考え方だ。Archicadに限らず、ソフトを導入する場合は、「目標を達成するための長期的な目標を設定するなど、事業戦略が必須。社内全体で方針を共有させるためにも、導入前からの検討が大切になる」と菅原氏は主張した。
教育/研修は、BIMの活用方法や知見を社内に浸透させる仕組みだ。石本建築事務所では、2021年度からBIMやデジタルデザインの基礎を学べる新人研修を実施し、2022年度から全社研修を導入するなど、社員のスキルアップに注力している。さらに、研修を受けた回数や参加したプロジェクトによって、「BIMテクニシャン」「BIMスペシャリスト」「BIMマネージャー」「BIMオフィスマネージャー」というようにレベルが向上していく「スターレベル」制度も用意し、技術取得を視覚的に実感してもらえる環境も整えている。
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