EagleEyeIIも、AIを搭載した人物検知/警報システムだ。防塵/防水性能はIP66に準拠し、JIS 1601の振動試験にも対応。粉じんや水しぶき、振動が伴う建設現場でも安心して使える堅牢性が特徴となっている。
OmniEyeと比べると、EagleEyeIIの視野はやや限定的で、水平視野角は120度、垂直視野角は90度。一方、検知可能距離は最大10メートルと長く、遠方まで人物を検出できる。
こうした特性から、直進や後退といった動作が中心となる中型〜大型建機に適し、ロードローラーやブルドーザーなど、進行方向の安全確認が求められる作業車両での活用が想定される。担当者は「OmniEyeが小回りの利く建機向けなのに対し、EagleEyeIIは前後の監視に特化している」とその違いを説明する。
人物検知には、OmniEyeと同様にエッジAIを搭載したカメラを採用。事前にさまざまな姿勢の人物を学習しており、高い検知精度を有している。カメラは強力なネオジム磁石によるマグネット式で、後付けできる。
EagleEyeIIにも油圧ショベル限定だが、危険エリアで人物を検知した際、建機の旋回や後進を自動停止させる「建機停止制御」オプションを用意している。
今展では、LiDAR連携のオプション製品やGPSを活用した現場管理システムも参考出展し、建設現場のスマート化に向けた取り組みを鮮明化した。
その代表例が、LiDARを活用した衝突防止機能の提案だ。人だけでなく、物や建物との衝突を防ぐことも、現場の安全対策で重要な課題とされている。レグラスは、LiDARを用いてシャッターを検知し、衝突事故を未然に防ぐOmniEye専用のオプション機能を紹介した。
担当者は「フォークリフトの後方に取り付けることで、シャッターや壁への衝突防止、さらにはトラックヤードからの転落防止にも活用できるのでは」とし、運用現場での応用に期待を寄せる。
開発中の製品では、遠隔から現場の安全を支援するシステムも出品した。Wi-FiやGPSを活用し、カメラ映像や重機の稼働状況を遠隔で確認できるシステムで、安全確認の無人化や省人化に寄与する新たな選択肢となる製品だ。
厚生労働省の「令和7(2025)年度における建設業の安全衛生対策の推進について」によれば、2024年の建設業の労働災害による死亡者数は226人(2025年3月速報値)。全産業中で最も高く、全体の31.2%を占めている。建設現場の安全確保は、いまなお業界全体の喫緊の課題といえる。
こうした現場課題の解決に向け、AIカメラによる死角の可視化や自動停止制御など、センシング技術への期待が高まっている。「建機のバックカメラは今や衝突防止に不可欠な存在。当社としてもAI技術を活用しながら製品を進化させ、現場DXと安全性の向上に貢献していきたい」と担当者は展望を語った。
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