コマツの「スマートコンストラクション」10年前の“夢”実現、3DでつなぐPDCA施工第7回 国際 建設・測量展(1/2 ページ)

コマツが掲げる「スマートコンストラクション」は、建設工事の地形変化、建機、作業員、建材といった要素をIoTでデータ化し、デジタルツイン上に再現するトータルソリューションだ。現場をデジタル空間に再現することで、肉眼では把握しきれない課題が可視化され、PDCA型で施工品質の精度向上や生産効率の改善が実現する。

» 2025年07月25日 20時26分 公開
[川本鉄馬BUILT]

 コマツの常務執行役員でソリューション本部長を務め、子会社のEARTHBRAIN(アースブレイン)代表取締役会長でもある四家千佳史(しけちかし)氏は、「第7回 国際 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO2025)」(会期:2025年6月18〜21日、幕張メッセ)の特別セミナーで、「スマートコンストラクション 2025」の演題で登壇した。

 講演では、四家氏が「2025年でひとつの区切りとなった」と表現するスマートコンストラクションの2015年以来の歩みと、新開発の次世代建機、EARTHBRAINの役割などを解説した。

コマツ 常務執行役員 兼 ソリューション本部長/EARTHBRAIN 代表取締役会長 四家千佳史氏 コマツ 常務執行役員 兼 ソリューション本部長/EARTHBRAIN 代表取締役会長 四家千佳史氏 写真は筆者撮影

10年前の“夢”がついに実現

 コマツは、スマートコンストラクションの実現に向け、多様な機械やデバイス、アプリケーションなどを開発してきた。四家氏はその目的を「建機ユーザーが抱える施工中の困りごとを解決する最新建機や関連ソリューションの提供にある」と説明した。

 日本の建設業界は、人材不足、社会インフラの老朽化、災害の激甚化といったさまざまな課題に直面している。スマートコンストラクションは、こうした課題の解決に加え、安全で生産性の高いクリーンな建設現場を具現化するためのコマツのプラットフォームだ。

 2015年にスタートした当初のコンセプトは、「建設生産プロセスの全工程を3Dデータでつなぐ」。工事前から完成まで、建設現場の地形、機械(建機/車両)、労務(作業員)、材料などをデジタルで接続/管理し、業務効率化につなげ、土木工事のプロセス変革を目指していた。

2015年に発表した「スマートコンストラクション」。工事の全工程を3Dデータでつなぐがコンセプト 2015年に発表した「スマートコンストラクション」。工事の全工程を3Dデータでつなぐがコンセプト

 四家氏はこれまでの軌跡を振り返り、「10年前に描いた夢が、ようやく実現した」と感想を口にした。実現した夢とは、工事情報がデジタルでつながり、3Dデータとして統合/可視化できるまでになった技術進化だ。

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