ICT施工、6割が「取り組んでいる」 BIM/CIM活用工事は発注は限定的 全建調査産業動向(1/2 ページ)

全国建設業協会は全国の会員企業を対象に実施した「生産性向上の取り組みに関するアンケート」の結果を公表した。ICT施工の取り組みが中小企業にも広がる一方、BIM/CIM活用が進んでいないことなどが分かった。

» 2025年07月29日 16時00分 公開
[BUILT]

 全国建設業協会は2025年7月1日、全国の会員企業を対象に実施した「令和7(2025)年度 生産性向上の取組に関するアンケート」の結果を公表した。調査では、ICT施工の取り組みが広がる一方、BIM/CIM活用は依然として限定的であることなどが分かった。

ICT施工は「内製化」や加点を目的に定着

 調査は2025年4〜5月にかけて実施。全国1958社が回答した。

 生産性向上の取り組みでは、「施工管理アプリの活用」「電子黒板の活用」「ICT施工」が50%を超え、「ドローンの活用」「電子契約サービスの活用」「経理システムの活用」「ASP情報共有システムの活用」も40%前後となった。「特に行っていない」と回答した企業は7.9%だった。

生産性向上のための取り組み 出典:令和7年度生産性向上の取組に関するアンケート報告書

 ICT施工に「取り組んでいる」と回答した企業は57.0%で、そのうち82.4%でICT活用工事の受注実績があった。受注実績のうち、発注者指定型工事は62.9%、施工者希望型工事は71.4%だった。工種別では全ての発注者で「土工」が多く、「法面工」「舗装工」が続いた。

ICT活用工事の実施工種 出典:令和7年度生産性向上の取組に関するアンケート報告書

 施工に使用したICT建機の調達方法は、「自社によるレンタル、リース」が最多の54.1%、次いで「自社保有」が38.9%、「協力業者の所有機械」の38.9%だった。自社所有に踏み切った理由では「ICT施工の内製化を図るため」が60.6%と最多で、「工事成績や総合評価などでの加点」が46.5%、「他社との差別化」が41.5%と続いた。

 使用したICT建機などについて、自社所有ではバックホウや測量機器、3Dソフトウェアが50%超、レンタル/リースではバックホウが約80%だった。

使用したICT建機など 出典:令和7年度生産性向上の取組に関するアンケート報告書

 今後について、ICT施工に「積極的に取り組む」とした企業が40.3%、「状況によっては取り組みたい」が37.1%となり、全体の約8割が前向きな意向を示した。一方で、「コストに見合った利益が回収できるか疑問」「通常施工と比較してICT施工のメリットがない」といった声も上がっている。

 ICT施工拡大に必要な条件を聞いたところ、「受注者側の人材育成/体制整備」「ICT建機の価格(リース料)、機能面の改善を含めた体制の充実」が50%を超えた。「官積算への適切な反映」「助成制度の拡充」「工事成績への適切な加点措置」が40%超となった。

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