安藤ハザマは、大分市上下水道局と共同で、下水道施設特有の硫酸劣化対策とCO2排出量削減を両立する「下水道用低炭素セグメント」の実用化に向けた実証実験を開始した。
安藤ハザマは2025年11月11日、大分市上下水道局と連携し、下水道施設特有の硫酸劣化への抵抗性能が高く、製造時のCO2排出量を従来比最大70%削減できる「下水道用低炭素セグメント」の実用化に向けた実証実験を開始したと発表した。コンクリート劣化が原因となる道路陥没事故など、下水道インフラが直面している課題の解決を目指す。
下水道用低炭素セグメントは、安藤ハザマが独自開発した「防菌剤」と、「低炭素セグメント」を組み合わせたもの。防菌剤は、硫化水素をコンクリートの腐食原因になる硫酸に変える硫黄酸化細菌や鉄酸化細菌などの活動を阻害する薬剤で、硫酸劣化への抵抗性を高める。低炭素セグメントは、ポルトランドセメントの一部を高炉スラグ微粉末に置き換えることでCO2排出量を最大75%削減すると同時に、早強性を確保し、1日2サイクル施工可能だ。
2025年9月には、安藤ハザマ興業の千葉工場で試作に成功し、実用的な製造技術を確立。同年10月からは、大分市の下水道施設で実環境下での耐硫酸性検証に着手した。現在は暴露試験用の小型供試体の作製を終え、最適な設置場所の選定を進めている。
今後は耐久性能に加え、力学性能に関する実証実験も行い、実用化を推進する。今後見込まれる下水道更新工事への適用を目指す。
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