風力発電ブレードへのドローン点検事例では、風力発電ブレードの稼働を停止させずに、ドローンとカメラを用いてブレードのクラックを撮影する試みについて説いた。
「通常、当社では、風力発電ブレードの稼働を止めて、ドローンをブレードに沿って自動航行させて、搭載されたカメラでブレードを撮影しているが、今回の試みでは、某所にある風力発電施設が発電のためにブレードを回転させている状態で、ブレードの損傷をドローンで撮れるかを検証した。具体的には、Matrice 300 RTKとZenmuse H20Tによる風車全体の高速シャッター撮影、高速シャッターでブレードのみを撮影、動画撮影、接近して連続撮影、高精細画像撮影といった手法の有効性を調べた」(入柿氏)。
風車全体の高速シャッター撮影では、風車全体がフレームに収まる安全な位置に配置したMatrice 300 RTKとZenmuse H20Tで対象部をオート撮影したが、画像にブレが生じ、ブレードにある損傷を可視化できなかった。高速シャッターでブレードのみを画像撮影でも、風車と適切な距離にあるMatrice 300 RTKとZenmuse H20Tでブレードのみを撮ったが、ブレードの損傷を確かめられる画像が得られなかった。同様に動画撮影でもブレードにある損傷の見える化は困難だった。
接近して連続撮影では、Matrice 300 RTKを風車から15メートルの場所まで近づけ、装着されたZenmuse H20Tでブレードを撮ったところ、風車が時速100キロで回転していたため、ブレードを撮れていなかったケースもあったが、一部の画像でブレードの損傷を捉えることに成功した。
高精細画像撮影では、Matrice 300 RTKを風車から60メートルのエリアまで近接し、取り付けられた4500万画素のフルサイズ航空測量用カメラ「Zenmuse P1」で、回転する風車全体を撮影し、ブレードにある損傷を鮮明に取得することを実現している。今後も、kiipl&napでは、風力発電ブレードの稼働を停止させずに、ブレードの損傷を撮影する技術の開発を進めていく。
Matrice 300 RTKのデモンストレーションでは、春日部みどりのPARKに配置された体育館内で、オペレーターが手動操縦でMatrice 300 RTKをフライトさせ、搭載されたZenmuse H20Tで可視画像と赤外線画像の撮影を行った。
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