回転する風力発電ブレードのドローン点検事例、DJI JAPAN産業用ドローン体験会ドローン(5/5 ページ)

» 2022年08月23日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]
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風車から15メートルの場所でZenmuse H20Tによりブレードの撮影を実現

 風力発電ブレードへのドローン点検事例では、風力発電ブレードの稼働を停止させずに、ドローンとカメラを用いてブレードのクラックを撮影する試みについて説いた。

 「通常、当社では、風力発電ブレードの稼働を止めて、ドローンをブレードに沿って自動航行させて、搭載されたカメラでブレードを撮影しているが、今回の試みでは、某所にある風力発電施設が発電のためにブレードを回転させている状態で、ブレードの損傷をドローンで撮れるかを検証した。具体的には、Matrice 300 RTKとZenmuse H20Tによる風車全体の高速シャッター撮影、高速シャッターでブレードのみを撮影、動画撮影、接近して連続撮影、高精細画像撮影といった手法の有効性を調べた」(入柿氏)。

風力発電ブレードの稼働を停止させずに、ドローンとカメラを用いてブレードの損傷を撮るために試みた手法

 風車全体の高速シャッター撮影では、風車全体がフレームに収まる安全な位置に配置したMatrice 300 RTKとZenmuse H20Tで対象部をオート撮影したが、画像にブレが生じ、ブレードにある損傷を可視化できなかった。高速シャッターでブレードのみを画像撮影でも、風車と適切な距離にあるMatrice 300 RTKとZenmuse H20Tでブレードのみを撮ったが、ブレードの損傷を確かめられる画像が得られなかった。同様に動画撮影でもブレードにある損傷の見える化は困難だった。

「Matrice 300 RTK」と「Zenmuse H20T」による風車全体の高速シャッター撮影の概要
「Matrice 300 RTK」と「Zenmuse H20T」による高速シャッターでブレードのみを撮影の概要

 接近して連続撮影では、Matrice 300 RTKを風車から15メートルの場所まで近づけ、装着されたZenmuse H20Tでブレードを撮ったところ、風車が時速100キロで回転していたため、ブレードを撮れていなかったケースもあったが、一部の画像でブレードの損傷を捉えることに成功した。

「Matrice 300 RTK」と「Zenmuse H20T」によるブレードの接近連続撮影の概要
「Matrice 300 RTK」と「Zenmuse H20T」によるブレードの接近連続撮影で得られたブレードの損傷画像

 高精細画像撮影では、Matrice 300 RTKを風車から60メートルのエリアまで近接し、取り付けられた4500万画素のフルサイズ航空測量用カメラ「Zenmuse P1」で、回転する風車全体を撮影し、ブレードにある損傷を鮮明に取得することを実現している。今後も、kiipl&napでは、風力発電ブレードの稼働を停止させずに、ブレードの損傷を撮影する技術の開発を進めていく。

「Matrice 300 RTK」と「Zenmuse P1」によるブレードの接近連続撮影の概要
「Matrice 300 RTK」と「Zenmuse H20T」によるブレードの接近連続撮影の画像(左)および「Matrice 300 RTK」と「Zenmuse P1」によるブレードの接近連続撮影の画像(右)
従来の点検手法(風車の稼働を停止した点検)と先端技術(風車を稼働させたまま点検する技術)

 Matrice 300 RTKのデモンストレーションでは、春日部みどりのPARKに配置された体育館内で、オペレーターが手動操縦でMatrice 300 RTKをフライトさせ、搭載されたZenmuse H20Tで可視画像と赤外線画像の撮影を行った。

「Matrice 300 RTK」のデモンストレーション
「Matrice 300 RTK」の実演で撮影した可視画像
「Matrice 300 RTK」の実演で撮影した赤外線画像
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