DJIはRTKモジュールの搭載により、評定点の設置数を最小化し、リアルタイムでセンチ単位の測位データを取得できる測量用高精度ドローン「PHANTOM 4 RTK」を発表した。Phantom 4 Pro V2.0の機体性能を継承しつつ、土木分野における測量調査の効率性と正確性を向上すべくシステムの刷新が図られている。
DJIは2018年10月16日、cm(センチ)単位のナビゲーションと測位を実現する測量用高精度ドローン「PHANTOM 4 RTK」を発表した。
この新型ドローンは、機体に「RTK(Real-time kinematic)」モジュールを搭載することで、cm単位の詳細な測位データをリアルタイムで測定可能としている。
同社によると、RTK非搭載のドローンは1km2(平方キロ)あたり最大40個の評定点(GCP)が必要となり、その設置だけで数時間を要する。新型ドローンはGCPの数を最小に抑え、少なくとも設置時間を75%短縮するという。
PHANTOM 4 RTKには、RTKナビゲーション測位システムと高性能イメージシステムを内蔵している他、RTK受信機の下側に冗長性を備えたGNSSモジュールも設置し、電波の密集する都市部など信号の弱い地域でも飛行安定性を維持する。
GPS L1 L2/GLONASS L1 L2、Galileo E1 E5a、BeiDou B1 B2で構成するRTK測位モジュールとGNSSモジュールを組み合わせることで、飛行の安定性を最適化しながら、複雑な測量・マッピングや調査などで正確な画像メタデータを取得できる。その正確性は水平方向1cm+1ppm(パーツ・パー・ミリオン)、垂直方向1.5cm+1ppmの測位精度に加え、写真測量モデルは水平方向5cmの絶対精度を達成している。
RTKでカバーできないエリアでは、ポスト処理キネマティック(PPK)で対応。海事用無線技術委員会からオリジナルの衛星観測データに加え、エフェリメンスデータも取得し、RTCM 3.2フォーマットでPPKRAW.binファイルに保存できる。
飛行時の衛星データは、GPSの共通データフォーマットであるRINEX(The Receiver Independent Exchange Format)に変換する。GNSSの測位情報とカメラ情報の内部同期により、Timestamp.MRKファイルが画像位置を正確に記録。全ての作業関連データは、microSDカード内の固有フォルダにミッションごとに保存されるなど、データ検証に必要な時間を削減し、手動での調整を必要としない高効率な後処理ワークフローを実現している。
これらに加え、PHANTOM 4 RTKの測位モジュールを最大限に活用すべく、フライトコントローラー・カメラ・RTKモジュールを調整する「TimeSync」システムを開発。ドローンの位置や高度などのデータとともに、工場出荷時の状態にキャリブレーションしたレンズパラメーターも各写真に記録できる。これにより、カメラのCMOSセンサー中心に測位データを合わせるなど、写真測量方式の結果を最適化することを可能とした。
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