ドローンレースチーム「RAIDEN RACING」を運営するDRONE SPORTSと建設コンサルタントの長大は、岩手県で橋梁の桁下など非GNSS環境下を対象にドローン点検を行った。今回の共同実証は、同様の橋梁構造が多い東南アジアなどのグローバル展開も視野に入れている。
DRONE SPORTSと長大は2026年1月8日、海外展開を視野に、岩手県内の橋梁(きょうりょう)を対象としたドローン点検の共同実証を実施したと発表した。
日本国内では、高度経済成長期に整備された橋梁やトンネルなどの社会インフラの老朽化が急速に進行している。人材やコストの最適化が求められる中、ドローンによる点検は、膨大な数の構造物を効率的かつ安全に維持管理するための有効な手段として注目されている。
DRONE SPORTSは、国産ドローンブランド「Rangle(ラングル)」を展開し、橋梁やトンネル、プラントなどのインフラ設備点検の請負、ドローンレースチーム「RAIDEN RACING」の運営、ドローンイベントの企画/運営など、多岐にわたる事業を展開している。RAIDEN RACINGは、世界最高峰のプロリーグ「Drone Champions League(DCL)」で3連覇を達成した実績を誇り、海外でのドローンレース参戦を通じて培った多様な環境下での高度な操縦技術や運用、調整といったノウハウを強みに、非GNSS(GPS)環境や狭所でのドローン点検を得意とする。
長大は、橋梁設計の分野で国内に限らず、東南アジア、南米、ヨーロッパ、アフリカ、南アジアなど世界各地の大型プロジェクトに参画。橋梁設計や施工監理、老朽化橋梁の架け替え、コンストラクション・マネジメント(CM)業務などを幅広く手掛ける。
今回の共同実証では両社の強みを融合し、橋梁点検の高度化と海外展開を視野に据え、点検用ドローンを活用して、橋梁上部や側面、桁下など非GNSS環境下の箇所を対象に、近接目視点検や撮影を行った。撮影したデータはAIで解析し、0.1ミリのひび割れの有無を確認するとともに、損傷箇所や劣化傾向を体系的に分析した。
実証の成果としては、これまで作業員が直接立ち入っていた高所や狭所での作業をドローンで代替できることを確認。転落や接触といった人的リスクの大幅な低減につながる。
また、足場の組み立てと撤去に約1週間を要していた橋梁の点検工程がドローン活用で不要となり、準備や復旧に要する時間や労力を大幅に削減する。
点検後はドローンで取得した高精細映像を比較することで、損傷箇所の変化を時系列で把握。点検データをデジタル資産として継続的に活用できる体制を構築した。
長大の担当者は、「今回の岩手県での実証対象となった橋梁形式は、フィリピンなど海外でも広く見られる構造だ。実証で得られた成果は海外での橋梁点検にも応用でき、グローバルなインフラ維持管理への展開が期待される」と評価。また、従来の点検手法との比較では、足場の設置や交通規制など、準備に多くの時間と労力を要していたが、「ドローン点検では、動画や写真で記録を残すことができ、確認作業の効率が向上。点検スピードも大幅に上がり、現場全体の安全性と生産性の両立に寄与する」と語る。
今後、DRONE SPORTSと長大は、本実証で得られた知見を生かし、国内で培った安全かつ効率的な橋梁点検技術を海外へ展開するとともに、各国の環境や構造条件に適応可能な実運用モデルの確立を目指す。
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