大和ハウス工業の見据える次のフェーズを芳中氏は、「2~3年後の短期では、設計・施工・製造の省人化と建設プラットフォームによる現場・サプライヤーの業務改善に取り組む。長期目線で5年後には、誰でも設計できるような設計業務の多様化、デジタル情報を現場でも扱う施工の無人化、製造業のDfMA+ICを採り入れた多品量生産の効率化を目標としたい。最終的には、箱作りから脱し、建物そのものをデバイス=情報を持つ建物と捉え、建設業界の新しいビジネススタイルを確立したい」と展望を語った。
ヤマト科学の松村氏は、「教育機関も研究所も、運用に制限が掛かるコロナ禍では、設計業務もVRなどのソリューションを用いて、非接触かつリアルタイムで顧客とコンタクトをとりながら、環境提案が可能な仕組みづくりを行っていく」と方向性を示した。
セミナー最後には、オートデスク 代表取締役社長 織田浩義氏が、「これまでITは設計者の作業を支援する道具に過ぎなかった。だが、ITの発展とともに、AIで条件を満たす数千もの設計パターンを一瞬で出力することも実現するようになった。もはやITはただの支援の道具ではなく、ヒューマンコラボレーションともいえる共同設計者の領域に進化した。使いこなすには、急速に進化するテクノロジーのスキルキャッチアップが求められる。当社は、テクノロジーの提供だけではなく、スキルアップのための環境も展開して、未来の働き方をサポートしていく」と抱負を語った。
また、「建設業では、紙の図面に替わるBIM/CIMのデジタル変革はこれから何年も続いていくだろう。withコロナ時代の事業継続を続けるためのテーマでもあり、場所や距離の制限が無くなることで新たな人材の確保、海外案件の受注も見込めるはずだ。未来の働き方を享受するためには、デジタル化は前提であり、いち早く獲得することが、ものづくりの神話を創ってきた日本の果たす役割だ」と述べ、クロージングに代えた。
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