竹中工務店と開発した自動で付いてくる台車やソーラー充電の電源を提案、レンタルのニッケン第10回 JAPAN BUILD TOKYO(2/2 ページ)

» 2025年12月25日 11時07分 公開
[黒岩裕子BUILT]
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最大600キロを運搬できる自動追従台車

 竹中工務店と共同開発した自動追従台車「かもーん」は、建設現場の資材運搬を省力化する装置だ。最初に認識した人やモノに自動で追従する機能を備え、複数台を連結させることでオペレーター1人で複数台を誘導できる。オペレーターと装置が接近した際は、センサーが動きを検知して一定距離を保つように自動で後退する。コントローラーによる手動操縦にも対応し、汎用パイプ台車と連結させれば長尺物の運搬にも活用できる。運搬作業に伴う身体的負担を軽減し、作業効率の向上につなげる。

 前後には衝突停止バンパースイッチを備え、接触すると自動で停止する。急な人の飛び出しもセンサーが検知して回避する。

 最大積載量は600キロ、最大走行速度は時速4.5キロ。約9.5時間の充電で最大4時間駆動する。担当者は「大規模現場での長距離運搬に限らず、中小規模の現場での日常的な資材移動の省力化まで幅広く活用できる」と話す。

自動追従台車「かもーん」 筆者撮影
ALTALT 人やモノを感知するセンサー(左)、コントローラーと表示灯(右)

建設現場のCO2排出量削減に向けたサービスを紹介

 レンタルのニッケンは、建設機械のCO2排出量可視化サービスや建機レンタルに伴うCO2排出量をカーボンオフセットにより実施ゼロにできるサービスも提供している。

 CO2排出量可視化サービスでは、建機にSIMカード内蔵のテレマティクスセンサーを取り付けてエンジンの稼働状況を検知し、燃費や稼働時間などのデータを基にクラウド上で排出量を算定する。算定したデータはPCやスマホから確認でき、必要な情報はCSV形式でダウンロード可能だ。建機だけでなくライトバンや発電機など多様なエンジン搭載機器、軽油以外のバイオ燃料やGTL燃料にも対応する。

 カーボンオフセット付きレンタルサービスでは、全国各地で行われているCO2削減/吸収プロジェクトに資金提供することで、建機使用に伴うCO2を相殺する。建機返却時に、CO2可視化サービスで可視化した排出量や燃料使用量から算出した排出量を基にカーボンオフセットした場合の金額を表示。見積内容への合意後にオフセット証明書を発行する。オフセット量やプロジェクトはユーザーが選択し、希望する地域からクレジットを調達することも可能だ。

スズキの電動台車やアイシンの小型燃料電池を参考展示

 ブースでは、スズキの多目的電動台車「MITRA(ミトラ)」のプロトタイプや、アイシンが商品化を目指す小型の可搬式燃料電池(FC)発電機も参考展示した。

スズキの多目的電動台車「MITRA」プロトタイプ スズキの多目的電動台車「MITRA」プロトタイプ

 スズキのMITRAは、電動車いすで培った技術を応用した電動台車で、段差や凹凸がある路面でも安定した走行が可能だ。サイズは920(長さ)×600(幅)×400(高さ)ミリ、重さ約90キロ。最高速度は時速6キロで、試験条件下での走行距離は約30キロ。各社が開発する現場向けロボットの台車として展開し、現場実装を後押しする。建設/土木現場などでの活用も見込まれている。

 一方、アイシンは、家庭用燃料電池「エネファーム」や自動車部品で培った技術を基に、小型で高効率/高耐久のFC可搬型発電機の商品化を目指している。水素を燃料とするため発電時にCO2を排出せず、独自の制御技術によってエアコン室外機レベルの静音性を実現する。

 コンセプトモデルは定格出力2キロワット、サイズは496(縦)×654(横)×512(高さ)ミリ、重さ37キロ。ガソリン発電機比で35%軽量だ。夜間工事現場や屋内での使用などを想定している。

燃料電池(FC)を用いた可搬型発電機 燃料電池(FC)を用いた可搬型発電機 筆者撮影
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