続いて紹介したのが、「木造戸建て住宅の建築確認手続き等の見直し」だ。以前は「4号建築物」と言われていた呼称を廃止し、木造2階建て、または木造平家建てで延べ面積200平方メートル以上を「新2号建築物」、木造平家建て延べ200平方メートル以下を「新3号建築物」へと分類した。
新2号建築物は、これまで必要だった「確認申請書/図書」に加え、「構造関係規定等の図書」と「省エネ関連の図書」の提出も義務化。新3号建築物は、以前と変更なく「確認申請書/図書」の提出のみ。さらに、木造建築物の審査/検査対象を変更し、非木造と統一する。
最後に取り上げたのが「木造戸建て住宅の壁量計算等の見直し」。これまでは高さ13メートル以下かつ軒高9メートル以下のみ、二級建築士による簡易な構造計算だけでも建築設計を行える規定だったが、その範囲を3階以下かつ高さ16メートル以下まで拡大した。2階建て以下の木造建築物では、構造計算を必要とする規模が従来は500平方メートル以上だったのに対し、300平方メートル以上にまで引き下げ。各条件の緩和で、多くの建築士が設計や工事監理を行えるように改善した。
「断熱性能向上のために、高い建物のニーズが高まっています」と長谷川氏。改正の全てはCO2削減、脱炭素の目標を達成するために策定されているため、「その意識を持って柔軟に対応していきたい」と力を込めた。
長谷川氏は、建築ピボットで提供している法改正に適応した最適な製品と、具体的なサービス内容をアピールした。
一押ししたのは「HOUSE-省エネ」。省エネルギー計算ソフト「SAVE-住宅」シリーズの中でも、戸建て住宅向けに特化した製品だ。住宅の一次エネルギー消費量や外皮性能の計算はもとより、省エネルギー等級や冷暖房費など、多彩な計算/出力機能を搭載している。
また、間取り図を描くような操作で、簡単に住宅モデルを入力できるのも特徴。作成した住宅モデルから自動でさまざまなデータを判別して集計し、設計変更にも柔軟に対応する。省エネ基準の計算もExcelと同期して自動入力するため、難しい作業は一切ない。
非住宅建築物には、基本設計段階で設計検討から図面作成までを一貫して行える建築設計プラットフォーム「i-ARM」を提案。建築のデザイン検討や環境解析、設計図書などを作成する3次元建築設計ソフトだ。「プロジェクトの初期段階で、設計者の頭の中にある住宅モデルを立体化し、省エネ計算する省エネモデル建物法コマンドを備える」と長谷川氏も胸を張る。
木造建築に必要な壁量計算、N値計算、柱と壁の直下率計算などが可能でAutoCADやJw_cadと互換性があるCADソフトウェア「DRA-CAD」、DRA-CADで入力した壁や柱の情報を連携させて許容応力度計算などが行える「HOUSE-ST1」にも触れた。DRA-CADの最新版では省エネ法改正への対応として、図面から面積や長さの数値を集計し、省エネ計算書の根拠となる参考図を作成できる他、新設のZEH壁量基準計算にも応じる。HOUSE-ST1は、4号特例縮小や令46条壁量計算の変更に準じてバージョンアップしている。
長谷川氏は、「これからも設計者の目線に寄り添い、実務に役立つサービスを提供していきたい。いち早く2025年の改正に対応するためにも、当社製品を活用してもらえたら」と要望した。
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