国土交通省は「建築基準法・建築物省エネ法」を改正し、2025年4月1日以降に着工する全ての住宅・建築物に省エネ基準の適合を義務化した他、建築確認審査の対象となる木造戸建て住宅のルール、壁量計算なども見直した。3DCADや構造計算ツール、建設業に役立つソフトウェアやサービスを提供する建築ピボットは、Archi Future 2024で法改正の詳細を解説するとともに、今回の改正に適応する製品群を紹介した。
建築ピボット 取締役 長谷川秀武氏は、「Archi Future 2024」(会期:2024年10月24日、TFTホール)のB-7会場で、「施行せまる! 2025年法改正、これさえあれば大丈夫―省エネ義務化、4号特例縮小の攻略法―」をテーマに講演した。
冒頭、長谷川氏は国土交通省が公開した「建築物省エネ法が改正」のパンフレットを参照し、具体的な改正内容を解説した。「今回の法改正で変わったのは、『全ての新築建物での省エネ基準適合の義務化』『木造戸建て住宅の建築確認手続き等の見直し』『木造戸建て住宅の壁量計算等の見直し』の3点だ」とポイントを話した。
建築物省エネ法とは住宅やビルなど、建築物の環境性能基準を定めた法令だ。カーボンニュートラルの実現やCO2の削減を目的に2015年に施行しており、時代背景に合わせて年々改正している。
長谷川氏がまず議題に挙げたのは、「全ての新築建物での省エネ基準適合の義務化」について。省エネ基準適合とは、建物内の電力消費量から太陽光発電などの削減量を引いた「一次エネルギー消費量」と、外壁や開口部の表面積から失われる熱の損失量である「外皮基準」が、国交省の定めた一定の数値以内に収まっていなければならないというルールだ。
従来は、敷地面積300平方メートル以上の中規模、または2000平方メートルを超える大規模な非住宅のみが対象で、同面積の住宅は届け出の提出、300平方メートル以下の非住宅/住宅は説明義務のみを必須としていた。今回の改正で、新築/増改築する全建築物の省エネ基準適合を義務化した。「今後新設する建物は、例外なく全てが省エネ基準に適合していなければならない。以前よりも一層、高気密かつ高断熱で、省エネを実現できる家づくりの考え方が必要となる」と長谷川氏は説く。
長谷川氏は、省エネ基準の評価方法もレクチャー。国交省が公開している「木造戸建て住宅の仕様基準ガイドブック」に記載されたチェックリストを使って確認していく「仕様基準」と、建築研究所で提供しているWebシステム「エネルギー消費性能計算プログラム」の計算に従う「標準計算法」について、スライドで順序立てて説明した。
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