つくばエクスプレス「つくば」駅周辺で大和ハウス工業が建設してきた3棟の複合施設が完成した。2025年8月に開業20年を迎えるつくばエクスプレスの始発駅として、駅周辺の大和ハウスグループが運営する商業施設やビジネスホテルなどともに、オフィス勤務者で約500人、商業施設の来場者で年間約50万人の賑わい創出を見込む。
大和ハウス工業は、茨城県つくば市でつくばエクスプレス(TX)「つくば」駅直結の複合施設が2025年2月28日に竣工し、3月28日から4月28日にかけて順次オープンすると発表した。
プロジェクト名は「(仮称)つくば市吾妻20街区プロジェクト」で、地下1階/地上5階建てのオフィスと店舗から成る「d_ll TSUKUBA(ディールつくば)」、地上4階建てで大和ハウス工業の茨城支店とグループ会社が入居する「大和ハウスつくば駅前ビル」、地上5階建ての立体駐車場「D-Parkingつくば駅前ビル駐車場」の3棟から成る。オープン日は、D-Parkingつくば駅前ビル駐車場の3月28日を皮切りに、d_ll TSUKUBAが2025年4月1日、大和ハウスつくば駅前ビルが2025年4月28日。立体駐車場の設計・施工は大和リース、その他の2棟は村本建設が手掛けた。
建物名所の「d_ll(ディール)」とは、大和ハウス工業の流通店舗事業部が開発する中規模オフィスブランド。地域の価値を投資家や土地所有者、テナントと共に創る「共創(Deal)」、幅広い建設ノウハウを生かした「建物づくり(Building)」、未来の日本をけん引する街づくりをする「意思(Daiwa’s Will)」の3つの意味を込めており、「d_ll 四日市」に続く2カ所目のオフィスとなる。
2025年8月に開業20年を迎えるTXは、つくば駅と「秋葉原」駅を最速45分で結ぶ鉄道路線。つくば駅は、乗車人数が1日平均1万7000人を超える市最大の交通結節点で、沿線エリアを中心に宅地開発や産業集積が進み、市の人口は2005年の開通当初と比べて2025年には約33%増加するなど発展を続けている。
大和ハウス工業グループも、つくば駅エリアで商業施設やホテルを建設し、沿線でも戸建て住宅や賃貸住宅、マンション、商業施設、物流施設などの開発を進めてきた。
今回完成した施設のうち、d_ll TSUKUBAは、つくば駅に直結した立地に新設。屋外デッキ接続エレベーターを設置し、駅周辺施設につながる2階屋外デッキにも直接アクセスできる。1階と2階にはクリニックや学習塾、カフェ、保育施設など16店舗を誘致する予定。3階〜5階は最大36区画に分割可能なオフィスフロアで、大和ハウスリアルティマネジメントやスタートアップ企業など16社が入る。また、清掃サービスの品質向上と省人化を図るため、自律移動型の清掃ロボットの導入も計画している。
大和ハウスつくば駅前ビルは、大和ハウス工業の茨城支店と大和ハウスグループ会社3社(大和リビング、大和ハウス賃貸リフォーム、大和ランテック)が順次入居し、約200人のグループ従業員が勤務する。フリーアドレスや集中ブースの他、リフレッシュできるテラスデッキを設けるなど、従業員の働きやすい環境を整備した。戸建て住宅の新築を検討している顧客向けの商談スペースには、住宅の内外装や住宅設備機器などのさまざまなサンプルを取りそろえ、リアルサイズで体感できるモデルルームとした。
つくば駅周辺では、大和リースの複合商業施設「BiViつくば」、大和ハウスリアルティマネジメントが運営する都市型ホテル「ダイワロイネットホテルつくば」があり、大和ハウスグループ一体で賑わいを創出していく。プロジェクト全体でオフィスに勤務者で約500人、商業施設で年間約50万人の来街者を見込む。
環境配慮では、両施設とも屋上に太陽光発電システム(d_ll TSUKUBA:約40kW、大和ハウスつくば駅前ビル:約30kW)やリチウムイオン蓄電池を配置。発電した電力と再生可能エネルギー由来の電力を使用することで再エネ100%を達成し、BELSの5つ星とZEB Readyを取得し、d_ll TSUKUBAは「CASBEE」Aランクの認定も受けている。
EV充電設備は、D-Parkingつくば駅前ビル駐車場に10基、大和ハウスつくば駅前ビルの駐車場に6基(普通充電5基、倍速充電1基)、d_ll TSUKUBAの駐車場に1基。D-Parkingつくば駅前ビル駐車場には、CO2削減や建物の表面温度を下げるなどの効果が期待できる壁面緑化を施している。
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