大和ハウス工業は、2050年度のカーボンニュートラル達成を目標に、事業成長と社会貢献が両立した独自戦略を推進している。ZEH/ZEB率向上や太陽光パネル設置を推進する一方、サプライヤーと協働で資材製造の脱炭素化にも取り組んでいる。また、生物多様性の保全でも、森林破壊ゼロを掲げる活動や在来種植栽などを通じてネイチャーポジティブ社会の創出を構想している。
大和ハウス工業は2025年1月27日、気候変動と生物多様性の動向に関するマスコミ向け勉強会を開催した。大和ハウス工業が設計・施工を手掛け、Nearly ZEBなどの環境認証を取得している神奈川県川崎市の住友電設 川崎テクニカルセンターが会場となった。
大和ハウス工業 経営戦略本部 サステナビリティ統括部長 小山勝弘氏は「2024年の夏は観測史上最も暑い夏となった。当社の提供価値の根幹でもある住まいや暮らしの安心安全が脅かされている」と気候変動への危機感を表明。カーボンニュートラル実現に向けた取り組みについて「当社では2030年までにやれることは全てやるという強い覚悟で取り組んでいる」と述べた。
大和ハウス工業の「カーボンニュートラル戦略」が掲げるのは事業成長と社会貢献の両立だ。建物を建てるほど社会に再エネが普及する仕組みを創出し、社会全体での脱炭素の潮流を加速させていく。また、大和ハウス工業では、自社の事業活動に伴うCO2排出量削減だけでなく、販売した建物の使用段階なども含むバリューチェーン全体の排出量(スコープ3)削減にも取り組んでいる。
注力する分野は、原則全ての屋根への太陽光パネル設置、2030年度原則ZEH/ZEB率100%達成、新築自社施設の原則ZEB化や太陽光パネル設置、自社発電の再エネで2025年度にRE100達成など。確実に実行することで、2015年度を基準として、2030年度にバリューチェーン全体でCO2排出量40%以上削減、2050年度カーボンニュートラルの実現を目指す。
2024年度には2030年度目標を上回る45.7%削減を達成する見込みだ。事業活動では海外を含むグループ全体で再エネ利用率99%に達し、CO2排出量63%削減と取り組みが大きく進んでいる。販売した建物の使用段階の排出量でも59.7%を削減した。住宅系事業では、戸建て、賃貸住宅、分譲マンションなど全ての建物でZEHを標準化し、2024年度上期で既に着工基準でマンション100%、戸建て住宅で98%となった。賃貸住宅でもオーナーと入居者双方のメリットを追求した全戸別供給型太陽光発電付きのZEH-Mを展開し、ZEH率は72%に達している。
一般建築の分野では、ZEB化した自社施設をショールームとして活用し、提案につなげている。ZEB化技術をパッケージ化することでコストダウンを図り、全国で企業のZEB化を支援する。請負/開発案件、面積ベースでZEB率は65%。ZEB化に合わせて自家消費型太陽光発電の設置も提案し、顧客自身による設置が難しい場合は大和ハウス工業が建物の屋根を借り、無償で太陽光パネルを設置する「オンサイトPPA」を提案。設置率の向上を図っている。
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