スカパーJSAT、ゼンリン、日本工営は衛星データを用い、Web上で地表面の変動をモニタリングできる定額制サービス「LIANA」の体験版を無償提供している。インフラ施設周辺、斜面、切土、盛土、軟弱地盤、埋め立て地などの変状をWeb上に可視化することで、災害予兆の検知が実現する。
スカパーJSAT、ゼンリンおよび日本工営は2025年3月6日、法人や自治体向けに衛星データで斜面や地盤、インフラの経年変化を過去に遡ってモニタリングするサービス「LIANA(リアーナ)」体験版の無償提供を開始した。
体験版では、東京都、大阪府、宮城県周辺の一部エリアで地盤変動やインフラの概況を確認可能で機能を体験できる。今後は全国の主要都市を対象に、体験版の閲覧可能エリアを順次拡大する。
LIANAは、3社が2020年10月に発表した衛星防災情報サービスの1つ。SAR衛星の画像解析ツール開発に強みがあるスカパーJSATが解析を担当し、利用者が確認したいエリアの地盤変動を時系列で表示。Webシステムには、日本工営の知見に基づく地盤変動の状況を視覚的に分かりやすく見える化するノウハウが詰め込まれ、ゼンリンの詳細な地図データも実装されている。
LIANAは、衛星(ALOS-2)を活用して、ユーザーが確認したい約1×1キロ単位のエリア内で、斜面や地盤、インフラの変動をミリからセンチレベルの精度でモニタリングする。アーカイブデータを活用すれば、2014年までの過去の経年的な変動履歴も時系列で把握できる。
主な機能は斜面の起伏が分かる3D表示をはじめ、地面の変動量(沈下、隆起)を色分け、変動量のグラフ化、国の地滑り判定基準に準じた定量的な危険度評価などを搭載している。
想定用途は、地すべりや盛土の定期観測、ダムや送電線などインフラ敷地周辺で人が容易に立ち入れないエリアのリモート観測、開発地周辺の地盤変動を過去から現在まで時系列で把握して地盤リスク評価など。
通常は対象範囲に応じて料金が掛かり、約1×1キロで年額23万1000円(税込み)。体験版では、利用登録後の20日間は無償でサービスを利用可能だが、解析結果はダウンロードできない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.