清水建設は、山岳トンネルの発破掘削を効率化する新システム「ブラストマスタII」を開発した。余掘り量低減システム「ブラストマスタ」を改良し、最適な発破パターンと穿孔シーケンスの自動設計機能を付加した。
清水建設は2025年2月14日、山岳トンネルの発破掘削を効率化する新システム「ブラストマスタII」を開発したと発表した。余掘り(計画断面以上の掘削部分)量を低減する穿孔(せんこう)差し角自動制御システム「ブラストマスタ」を改良し、地山の変状に応じた穿孔位置/間隔の自動修正機能と、修正パターンに基づき作業時間を最短化する穿孔シーケンスの自動設計機能を新たに追加した。
新システムは、Lightblue、サンドビック、演算工房と共同開発。発破パターンでは数時間、穿孔シーケンスでは数日を要していた修正設計を瞬時に完了させ、発破掘削の生産性を向上する。
山岳トンネル工事生産性向上の鍵の1つが余掘りの削減だ。従来のブラストマスタは、発破パターンと呼ばれる火薬挿入孔の配置や数、穿孔角度の計画に関して、最外周孔の穿孔角度(差し角)を最適化することで余掘り量の低減を図っていた。しかし、日本の不均質な地山を効率的に掘削するためには、変状に応じて穿孔位置や間隔、掘削機(コンピュータジャンボ)に入力する穿孔シーケンスを適宜、迅速に修正できるシステムが求められていた。
新システムは、コンピュータジャンボで地山を穿孔した際のエネルギーデータを活用し、地山の性状に即した発破パターンを独自のアルゴリズムで算出。1孔当たりの装薬量を固定した条件下で、余掘り量を最少化する発破パターンを導き出す。また、コンピュータジャンボの複数のブームが干渉せず最短ルートで移動できる穿孔シーケンスを自動算出し、作業中も都度状況に応じて修正し、最適化する。
清水建設は今後、自社施工のトンネル工事でシステムの実証施工を行う。ずり搬出量削減によるダンプ稼働時間の短縮や、掘削面平滑化による吹付けコンクリート量の削減、CO2排出量低減などの効果を検証し、案件適用につなげていく。
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