インフロニア・ホールディングスと燈は、AIを活用した道路空間の異常検知システムを開発した。撮影した道路空間の動画を基に、ほぼリアルタイムで道路施設の変形や損傷を自動検知する。
インフロニア・ホールディングスと燈(あかり)は2025年2月3日、AIを活用した道路空間の異常検知システムを共同開発したと発表した。
新システムは、車載スマートフォンで走行しながら撮影した道路空間の動画を基に、データ収集とリアルタイムの異常検知、3Dデータ作成を行う。また、差分検知AIにより、ほぼリアルタイムでひびわれやポットホールなどの舗装の異常、ガードレールなどの道路施設の変形や損傷を自動検知する。また、道路落下物や植栽など建築限界への侵入なども可視化する。
両社は2025年夏をめどに自治体への提供を本格化し、インフラメンテナンスの効率化と安全性の向上を目指す。今後もシステムの実証実験を重ね、継続的な精度向上を図る。
新システムは主に「異常に関する教師データなしでの異常検知」「コンテキスト理解が可能な画像認識」「指定エリアへの侵入検知」などのAI技術を組み合わせ、事前に大量の教師データを準備することなく、汎用的な異常抽出が行える。また、差分検知AIにより損傷の進行量を計測し、緊急度の高い損傷に対し、道路パトロールや点検の現場で処置の判断が可能。遠隔による点検から補修設計、工事まで一連の維持管理業務の効率化を支援し、リスクマネジメントなど幅広い分野での活用が見込める。
「異常に関する教師データなしでの異常検知」技術は、環境や損傷形状の影響を受けることなく新規損傷を検出。ほぼリアルタイムで舗装損傷を認識し、走行安全の確保と維持管理費用の抑制に寄与する。主な検出対象は、ひび割れ、ポットホール、カラー舗装/区画線の薄れなど。
「コンテキスト理解が可能な画像認識」技術では、通常状態と異なる変形などを検出。ガードレール、電柱、標識の損傷などを認識できる。また、「指定エリアへの侵入検知」技術では、道路空間に侵入した物体をほぼリアルタイムで検出し、安全な走行空間を確保。検出対象は、落下物や建築限界内に侵入した植栽や電線のゆるみ、標識/電柱の折れ曲がりなど。
取得したデータは必要に応じて3D点群データに変換し、デジタルツインの構築が可能。従来の100分の1程度までデータ容量を軽減した。動画データを取得する度に3D点群データを更新し、時系列での構造物の変状や災害前後の変化を比較検証する。補修設計や災害復旧への活用も視野に入れ、技術者の経験年数に左右されないインフラメンテナンスの実現を目指す。
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