帝国データバンクの調査によると、2024年の「人手不足倒産」は前年比約1.3倍の342件に増加し、建設業が99件と全体の約3割を占めた。物流業も46件と高水準で、「2024年問題」に直面した両業種が全体の4割を超える結果となった。
帝国データバンクは2025年1月9日、2024年の「人手不足倒産」は累計342件で、前年の260件から約1.3倍に増加したと発表した。2013年の調査開始以降の過去最多を2年連続で大幅に更新した。
業種別でみると建設業が前年比8件増の99件で最も多く、全体の約3割を占めた。物流業も同7件増の46件と高水準で、時間外労働の上限規制が適用された「2024年問題」に直面した両業種が全体の4割強を占めている。人手不足によって事業継続の断念に追い込まれるケースが深刻化していることが浮き彫りになった。
また、人手不足を感じている企業の割合は2024年12月時点で52.6%と半数を超え、新型コロナウイルスの感染が拡大したことで一時的に緩和された2020年以降に急上昇し、高止まりが続いている。
人手不足倒産とは、法的整理(負債1000万円以上)となった企業のうち、従業員の離職や採用難、人件費高騰などを原因とする人手不足が要因となった倒産を指す。
帝国データバンクによれば、建設業は今後も深刻な人手不足が想定されるという。業種別にみると、2024年の景況感は高水準にある一方、時間外労働の上限規制などの影響で、毎月勤労統計では総実労働時間や出勤日数が減少傾向にある。人手不足の中で労働時間も減少し、経営のかじ取りがより困難になっている。
さらに就業者に占める60歳以上の割合は、建設業では全業種の18.8%を上回る23.9%に達している。物流業は18.6%と建設業よりもやや低いものの、50歳以上の割合は49.5%と約半数を占める。今後も建設、物流業の労働時間の削減は続き、就業者数の増加も見込めないため、省力化や効率化は喫緊の課題だ。
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