住友林業は、鉄骨部材を木で覆った「木ぐるみHB」柱の製造/販売に関わるライセンス契約を集成材メーカー3社と結んだ。1時間耐火の大臣認定を取得しており、中大規模建築物での木材利用を目的に、3社と連携して積極的に拡販に努める。
住友林業は、開発した木被覆鉄骨部材「木ぐるみHB」柱に関するライセンス契約を集成材メーカー3社と締結し、2025年11月から製造/販売を開始した。住友林業が開発部材を他社と、ライセンス契約して販売するのは初めて。
契約した3社の集成材メーカーは、齋藤木材工業、志田材木店、藤寿産業で、住友林業が設計・施工に携わらない物件でも、3社を通じて木ぐるみHB柱を活用したオフィスや教育施設など中大規模建築物件の設計・施工が可能になる。
木ぐるみHBは、鉄骨部材を木で被覆した部材。カラマツ材とスギ材の燃え方の違いを生かし、焼失しやすいスギを表面に貼ることでカラマツ炭化層の亀裂の深さを抑えて、燃え止まり効果を高めた。従来の耐火部材は、燃え止まり性能を担保するために石こうボードなど無機材料の併用が一般的。木材のみの被覆構成のため、GHG(温室効果ガス)排出量の抑制、炭素固定量の増大で環境負荷低減に貢献する。
2025年3月26日に大臣認定を取得した木被覆鉄骨部材(木被覆角形鋼管柱)の被覆パーツ形状をL字形からI字形に改良し、製造工程で木材加工数、部材の接着工程を減らし、改良前と比較して製造コストを約20%削減した。凹凸のあるL字に比べ、簡易な形状としたことで積載が容易となり、現場への運搬性、現場での施工性も上がった。
現場での施工は、分割製造した被覆パーツを搬入し、ビスと木栓を用いて組み立てられる。鉄骨建方工事や床スラブ打設完了後に木被覆材を取り付けられるため、鋼材の溶接作業や雨濡れによる木被覆材の汚れや傷を大幅に低減する。
住友林業によれば近年、鉄骨造やRC造の中大規模建築物の一部を木造化/木質化する事例は増えており、木で被覆した耐火鉄骨柱や梁(はり)のニーズは高まっているという。そのため、中大規模建築物で木材利用につながるように集成材メーカー各社と連携し、木ぐるみHB柱を積極的に拡販する。
また、今後も構造設計がしやすく汎用性の高い角形鋼管の耐火部材で、環境負荷が少なく意匠性にも優れる木材を活用した部材の開発にも注力。木被覆鉄骨部材の1.5時間耐火構造の大臣認定取得を目指し、鉄骨造やRC造の木質化に貢献する。
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