四足歩行ロボが自律巡回点検、高速道路工事の現場で有効性を確認 飛島建設：ロボット

飛島建設は施工管理業務の高度化と効率化を目的に、四足歩行ロボットの自律歩行による巡回点検システムを開発した。

[BUILT]

　 飛島建設は2025年12月10日、四足歩行ロボットの自律歩行による巡回点検システムを開発し、高速道路工事現場での検証により有効性を確認したと発表した。

四足歩行ロボット外観（左）、工事現場内での自律歩行状況の一例（右）　出典：飛島建設プレスリリース

　新システムは、Unitree Robotics製四足歩行ロボット「Unitree Go2」をベースに開発した。専用Webアプリによる無線操作やROSによる制御が可能で、巡回点検に対応するため、深度カメラや3D LiDAR、マイクスピーカー、PCを搭載した。

搭載機器　出典：飛島建設プレスリリース

　ロボットは、標準搭載のカメラや3D LiDARから静止画、動画、3D点群データを取得。カメラ映像や深度カメラ映像、ロボットの状態はリアルタイムで確認可能だ。音声によるコミュニケーションにも対応する。

　3D LiDARによるSLAM技術（自己位置推定と地図作成を同時に行う技術）を用い、事前に作成したマップ上にウェイポイントを指定することで自律歩行が可能となる。位置や区間を指定して自動的にセンサーデータを取得することもできる。

自律歩行とセンサデータ取得設定画面の一例　出典：飛島建設プレスリリース

　飛島建設は施工する高速道路工事の現場で新システムの機能検証を実施。ネットワーク経由でのロボットの遠隔操作やリアルタイム映像受信、遠隔操作者と四足歩行ロボット付近の人間との遠隔音声コミュニケーションができることなどを確認した。また、自律歩行や障害物が存在した場合の迂回歩行、指定ポイントでセンサーデータの自動取得などについても実証した。

遠隔操作と音声コミュニケーション検証　出典：飛島建設プレスリリース

　さらに、自律歩行で取得した点群データと、別途測定した3Dスキャナーによる点群データを比較した結果、坑口から約20メートルの断面でトンネル幅について20ミリ程度の差で測定できることを確認した。

四足ロボット取得3D点群の一例　出典：飛島建設プレスリリース

　飛島建設は今後、新システムの現場実装を推進するとともに、これまでに開発したドローンによる遠隔点検システムと組み合わせ、屋外はドローン、屋内は四足歩行ロボットといったそれぞれの強みを補完／協調するシステムを開発する。