大成建設は三成研機と共同で、建設ロボットの階間移動システム「T-MoveX」を構築し、新システムの主要技術として、建設ロボット専用の仮設エレベーター「ROBOELE」と、ドローンの移動専用シャフト「Dシャフト」の設計/製作を開始した。
大成建設は2024年10月24日、三成研機と共同で、建設ロボットの階間移動システム「T-MoveX」を開発したと発表した。また、新システムの主要技術として、建設ロボット専用の仮設エレベーター「ROBOELE(ロボエレ)」と、ドローンの移動専用シャフト「Dシャフト」の設計/製作を開始。ROBOELEについては2026年度に実プロジェクトでの本格運用を目指す。
建設業では人手不足対応や施工の効率化、生産性向上などを目的に、遠隔操作や自動/自律制御で稼働する建設ロボットの研究開発と現場への導入が進みつつある。ロボットの現場適用を拡大していく上で、課題の1つとして挙げられるのが階間移動だ。大規模現場には大型仮設エレベーターが設置されるが、資材の搬出入や人間の移動といった従来業務での繁忙度が極めて高く、建設ロボットとの共用は難しいとされている。このため、建物内での建設ロボットの一度の作業範囲は同一階に限定されていた。
ROBOELEは省スペースに設置可能なロボット専用のエレベーターで、外形サイズは1500(幅)×2250(奥行き)ミリ、最小設置開口は1950(幅)×2450(奥行き)ミリ。設置方法は、(1)標準的な超高層ビルの仮設エレベーター設置開口の余り部分に設置する、(2)最小の駄目穴寸法で独立して設置するの2種類がある。ロボットは個々の通信機能を使用してROBOELEと連携し、ロボットが発信する呼び出し信号を受信したROBOELEは、呼び出された階へ移動して自動で扉を開閉し、ロボットを載せて指定階へ移動する。
大成建設では同時に、仮設計画に合わせて、ROBOELE用の開口にDシャフトを併設する手法の検証も進める。開口サイズは1200(幅)×奥行1200(奥行き)ミリ程度を想定。Dシャフトの設置でドローンのスムーズな階間移動が可能になり、建設現場での適用拡大が期待できる。
大成建設では今後、T-MoveXの普及を図り、ロボットやドローンが自由に建物内を上下階に移動しながら施工管理や施工の効率化を支援し、建設現場の生産性向上を図る「DX構想」の実現に取り組む。
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