東京都庁が首都機能を止めずに大規模改修 省エネ化も達成した日本設計のFM手腕ファシリティマネジメント フォーラム 2025(1/2 ページ)

公共建築物の老朽化が深刻化し、各地で建物リニューアルの動きが活発化している。建設費の高騰やカーボンニュートラルへの関心の高まりを背景に、施設の長寿命化と合わせて環境性能をも高める動きも目立つ。ただ、業務を継続しながら、改修を実現するにはさまざまな障害がつきまとう。こうした中で首都機能を担う東京都では、行政サービスを止めずに庁舎の大規模改修を実現に導き、ファシリティマネジメント(FM)の先進事例として注目を集めている。

» 2026年02月17日 22時55分 公開
[宮裡將揮BUILT]

 全国で高度経済成長期に建てられた公共建築物の再整備が盛んだ。建設資材の高止まりなどを背景に長寿命化や大規模改修を選ぶ自治体も増えているが、施設動線、規模の最適化、環境負荷の低減など、同時に取り組むべき課題は数多い。

 こうした中で、東京都は率先して業務を継続しながら、都庁舎の大規模改修を実現した。2030年までに温室効果ガス排出量を半分に減らす「カーボンハーフ」、2050年の排出量実質ゼロを目指す「ゼロエミッション」を目標とし、長寿命化と同時に省エネルギー化も実現させた。

 2025年2月に開催した「第19回 日本ファシリティマネジメント大会(ファシリティマネジメントフォーラム 2025)」で、都庁舎リニューアルに携わった日本設計 リノベーション設計部 設備グループの岡村智氏が登壇し、プロジェクトの全容を振り返った。

ファシリティマネジメント フォーラム 2026 開催中

2026年で20年目を迎える「ファシリティマネジメント フォーラム 2026(第20回 日本ファシリティマネジメント大会)」。今回のテーマは「これからのFMについて語ろう」。オンデマンド配信では会期終了の2026年2月27日まで、70を超える多彩な講演が凝り広げられる(申し込みは右の画像クリックで専用Webサイトから)。

■申し込み締め切り:2026年2月27日17時迄

10年を超える大規模プロジェクトとなった都庁舎改修

 都庁舎は1991年の開庁からメンテナンスを計画的に実施していたものの、老朽化が深刻化し、設備機器を中心とした本格的な改修事業に乗り出すこととなった。事業の対象となったのは第一本庁舎、第二本庁舎、都議会議事堂の3棟で、2014年に着工し、2025年3月に完了した10年を超える大規模事業となった。

 設備更新では、「玉突き移転改修」という手法を採用し、庁内の一部を都庁外に移転して“種地”を設けて2フロアごとに閉鎖と改修を繰り返した。移転は極力1回だけで済むように計画し、事業費自体も抑えた。

都庁の業務を継続しながら改修すべく、「玉突き移転改修」を採用 都庁の業務を継続しながら改修すべく、「玉突き移転改修」を採用

 岡村氏は「業務を継続しながらの大規模改修工事は、代替執務エリアの確保が課題となり、ハードルが高く、緻密な計画が求められる。設備やシステム全体を少しずつ更新していくため、省エネルギー化も難しかった」と説明する。

リニューアル成功に向けたPDCAサイクルによる緻密な整備計画

 リニューアルでは度重なる大規模災害や快適性などを踏まえ、安心安全、環境負荷低減、利便性向上、予防保全、費用縮減の5つのテーマに注力した。

改修事業では5つの視点に立って、計画を立案した 改修事業では5つの視点に立って、計画を立案した
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