鹿島建設は、岩盤面の孔内に装てんするまで火薬化しない「バルクエマルション爆薬」を採用した全断面発破を、国内の山岳トンネル工事で初めて実現した。施工ステップの一つ「装薬」の自動化に向けた一歩となる。
鹿島建設は、岩盤面の孔内に装填(そうてん)するまで火薬化しない「バルクエマルション爆薬」を採用した全断面発破を、山岳トンネル工事に適用した。鹿島建設が目指す次世代の山岳トンネル自動化施工システム「A4CSEL for Tunnel(クワッドアクセル・フォー・トンネル)」の施工ステップの1つ「装薬」の自動化に向けた取り組みとなる。
バルクエマルション爆薬は、工事現場内で非火薬の原料を混合して火薬化することが認められた爆薬。海外では多数の導入実績があるが、日本国内では法的な制約や取扱いの難しさから、これまで山岳トンネル工事での導入されていなかった。そこで鹿島建設は火薬製造に関する法的制約をクリアし、神岡試験坑道で移動式製造設備(専用装填機)による爆薬の現地製造を可能にした。
爆薬の原料は、装填機先端で初めて混合され一定時間経過後に火薬化するため、高い安全性が担保されており、従来の爆薬のように火薬や火工品としての厳しい管理体制は必要ない。装填機内も安全で機械による自動装填に適し、専用装填機を用いることで、孔ごとの装薬量や配合データを自動で記録/管理できるため、次の発破へのフィードバックを行える。耐水性に優れ、適度の粘性を保持していることから装填率を調整できるため、発破する岩盤条件に即した最適な装薬が実現する。
装薬や発破の作業では、鹿島建設独自の「最適自動発破設計システム」に基づき作成された発破計画に従い、安全に各孔に所定量の爆薬を装填し、適切な発破が実施できることを確認した。
今後、鹿島は、安全性を確保した上で装薬作業の効率化を進め、バルクエマルション爆薬の普及と装薬自動化につなげていく所存だ。
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