本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は、厚生労働省の「賃金構造基本調査」をもとに、2023年の建設業での給与動向を探った。
今回は、2023年の建設業の給与動向について、厚生労働省の「賃金構造基本調査」をもとに調査集計した結果を報告する。
■本レポートの要旨
・2023年の建設業の平均年収は567万円(前年比6.3%増)で、全産業計を11.8%上回った
・技術職では、建築技術者が632万8000円、土木技術者が603万9000円となり、建設業平均を上回る
・大規模建設業(従業員1000人以上)の平均年収は前年比17.0%増の大幅増、中小建設業との年収格差が拡大
2023年の一般労働者の平均年収※1は、全産業計で前年比2.1%増え、506万9000円となった(図表1)。産業別では、平均年収が最も高いのは「電気/ガス/熱供給/水道業」の699万1000円、次いで「金融業、保険業」の659万2000円、「学術研究、専門/技術サービス業」の649万5000円。「建設業」は567万円で全産業計を11.8%上回った。
対前年増加率で最も平均年収が上昇したのは、「サービス業(他に分類されないもの)」で8.0%増。その次に「鉱業、採石業、砂利採取業」の7.2%増、建設業の6.3%増と続いた。
そのため、建設業は、他産業と比較して平均年収は高く、前年比での給与上昇幅が大きかったと分かる。
※1 平均年収:きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額
建設業の平均年収について、10年間の推移をみると、2019年の553万7000円をピークに、新型コロナ感染症拡大の影響もあり、3年連続で前年割れ。一転、2023年には大幅な増加となり、コロナ前を上回る水準となった(図表2)。
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