大林組は、トンネル覆工裏込め注入技術「スペースパック工法」で使用する可塑性注入材について、製造時のCO2排出量を最大130%削減するカーボンネガティブタイプを開発した。従来と同じ性能や施工性を維持しながら、インフラ補修を低炭素化する。
大林組は2024年2月7日、トンネルの覆工(ふっこう)や護岸などの補修に用いる裏込め注入技術「スペースパック工法」において、CO2収支マイナス(カーボンネガティブ)の可塑性(かそせい)注入材を開発したと発表した。標準型の注入材と比較して、製造時のCO2排出量を最大130%削減する。
スペースパック工法の注入材はこれまで、「標準型」と、セメント系接合材の一部を高炉スラグに置き換えた「低炭素型」を使用してきた。今回開発したカーボンネガティブタイプの注入材は、標準型注入材にCO2を吸収/固定化した炭酸カルシウムを主成分とする粉体を混合することで、製造時のCO2排出量をマイナスとした。また、低炭素型注入材に同様の処置を行いカーボンネガティブタイプとすることで、製造時のCO2排出量を最大約250%削減できる。
新しい注入材は、トンネル覆工の注入材に必要な強度や流動性、充てん性などに加え、さまざまな用途に対応した性能(長距離圧送性/流水不分離性)も保持し、従来と同様の方法で施工が可能だ。
大林組は今後、トンネル以外の護岸、堤防、高架橋の基礎などにも幅広く応用できるカーボンネガティブタイプの可塑性注入材として、積極的に提案していく。
大林組は2022年、製造時のCO2排出量を最大で80%削減する環境配慮型コンクリート「クリーンクリート」の技術を基に、炭酸カルシウムを主成分とする粉体を混ぜ合わせることでCO2排出量を差し引きゼロからマイナスにできる「クリーンクリートN」を開発した。今回開発した注入材は、クリーンクリートNの技術を利用している。
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