三井住友建設は、場所打ち杭工法(オールケーシング工法)で、杭の鉛直精度を向上する「ケーシング下端位置計測システム」を開発した。地中部分のケーシングの傾斜をリアルタイムに可視化することで、現場での鉛直精度確認作業を省力化し、施工管理の生産性を高める。
三井住友建設は2024年1月17日、場所打ち杭工法(オールケーシング工法)で、地中部分のケーシングの傾斜をリアルタイムに可視化して杭全長の鉛直精度を向上する「ケーシング下端位置計測システム」を開発した。現場での鉛直精度確認作業を省力化し、施工管理の生産性を高める。屋外ヤードでの実証実験によりシステムの有効性を確認しており、今後、現場での適用を目指す。
地中のケーシングの鉛直精度は、従来の管理方法では地上部分の計測結果に基づき判断していた。今回開発したケーシング下端位置計測システムでは、ケーシング内に計測/通信機器(2軸傾斜計、通信制御基板、バッテリー、送受信アンテナ)を搭載し、ジョイント部は無線通信でデータを伝送。定量的かつリアルタイムに鉛直精度を可視化する。
測定結果は無線通信を利用して管理用PCに送り、リアルタイムに一元管理できる。
杭全長の傾斜から杭の下端位置を算出し、適宜修正することで、場所打ち杭を正確な位置に鉛直に構築可能だ。
ケーシングの内側軸方向には鋼製保護部を設け、計測/通信機器をケーシングの回転や圧入時に地盤から受ける摩擦や、ハンマーグラブ掘削時の衝撃から守る。
三井住友建設は、建設向けデータベース構築事業を展開する日本マルチメディア・イクイップメントと共同で、ケーシング下端位置計測システムの特許を出願している。
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