メディセオは約267億円を投じ、兵庫県西宮市に新たな医療用品を扱う物流施設を開設した。
医療用医薬品や医療機器等の卸売事業を行うメディセオは2023年9月1日、約267億円を投じた医療用医薬品や医療材料を扱う新たな物流拠点「阪神ALC」が竣工したと発表した。稼働開始は同年10月で、年間出荷額は約2400億円を見込む。
ALCは、Area Logistics Centerの略で、主に調剤薬局、病院、診療所などに医療用医薬品や医療材料などを供給する高機能物流センター。施設の規模は、鉄骨造(杭頭免震)地上4階建てで、延べ床面積は4万3068.19平方メートル。所在地は兵庫県西宮市津門大塚町11−15で、敷地面積2万6446.3平方メートル。設備投資額は総額約267億円(土地、建物、設備、機器など)。
これまで親会社のメディパルホールディングスは、2009年に開設した神奈川県横浜市戸塚区の「神奈川ALC」を皮切りに、メーカーと医療機関をシームレスにつなぎ、災害対策を施した有事に強い物流センターを全国で順次展開。今回、京都府全域と大阪府、兵庫県をカバーする阪神ALCは13カ所目の拠点となり、全国をカバーする流通ネットワークが完成したことになる。
主な特徴としては、最小管理単位3万SKU(Stock Keeping Unit)以上の商品を取りそろえ、直接届けることで、受注から納品までのリードタイム短縮が見込まれる。
また、独自に確立している需要予測システムで在庫を適正管理し、過剰在庫や品切れが生じないように1品目ごとの適正なコントロールにより、定時かつ適量の納品が実現する。
商品のピッキングでは、富士通のAI(数理最適化技術)を用いた最適化計算で、荷時間の短縮やピッキング作業と搬送を効率化し、第三世代のピッキングシステムを構築した。さらに、正確性と効率性を追求した高生産性物流システム「AUPUSII(Automatic Piece Picking Ultimate SystemII)」を投入し、世界最高水準の高機能物流を目指す。
また、BCP対策では、阪神・淡路大震災、東日本大震災など多くの被災経験を生かし、災害時にも影響を最小限に抑えるように、さまざまな対策を施している。建物免震構造とするとともに、停電時の自家発電設備、緊急配送用バイク、自家給油設備などを配備し、地震などの自然災害時にも、事業を継続できる体制を整えている。
環境配慮では、太陽光発電による自然エネルギーの活用、LED化の推進、再生素材(間伐材や再生木材)の使用などを考慮した設計となっている。加えて、雨水を利用した水資源の有効活用や紙ラベルの廃止による廃棄物の削減、電気自動車の導入なども予定している。
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