清水建設は、地震時の杭への応力負荷を低減する杭頭半剛接合構法「スリムパイルヘッド構法」を開発した。基礎躯体の数量を縮減してコストダウンや工期の短縮を実現する。
清水建設は、杭頭半剛接合構法「スリムパイルヘッド構法」を開発したことを発表した。
スリムパイルヘッド構法は、杭頭部と基礎部の間に「半剛接合部」と呼ばれるコンクリート製で円形の扁平断面部位を設け、杭頭の固定度を半剛状態にすることで、杭頭部に生じる曲げ応力を低減する。半剛接合部は杭頭断面の約2分の1の面積で外周部に枠鋼管を設けている。
杭頭部には、半剛接合部での集中軸力の発生による杭頭部コンクリートの割裂防止のために、井桁(いげた)状の補強筋を配筋。基礎部と半剛接合部、杭頭部断面の中央部には接合定着筋を集約配筋し、杭頭部の曲げ応力を基礎部に緩和して伝達する。清水建設の研究所で約3分の1の杭のモックアップを用いて実証実験を行ったところ、震度7相当の応力負荷をかけても耐力を維持していることを確認したという。
これまでの一般的な場所打ちコンクリート杭は、杭頭部のコンクリート断面と鉄筋をそのまま基礎に接合させた剛接合として基礎構造を構築していた。杭や地中梁のコンクリート、鉄筋などの必要数量も多くなることに加え、基礎部の配筋が複雑になり施工上の難度が上がることから、基礎部から杭への伝達応力の低減策が求められていた。
同構法は既に、都内で施工中の高さ100メートル、地上約30階建ての超高層ビルに適用している。清水建設は今後、超高層案件にスリムパイルヘッド構法の適用を提案し、案件受注の拡大につなげていく考えだ。
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