菊池氏は、CATIAとXFlowを連携させた3次元シミュレーションの有効性を裏付けるべく、砂防施設の渓流保全工を対象としたシミュレーション動画を放映した。渓流保全工とは、大雨時に発生する洪水流の乱流や河床高の過度の変動を抑制し、川の水を氾濫(はんらん)させずに適切に流す施設のこと。
「動画の事例では、当初の設計でシミュレーションをすると氾濫する箇所があることが判明した。そこで高さ4メートルの構造物(壁)を設計に加え、再度検証したがまだ氾濫した。ならば、壁の高さを5メートルに変更し、再度シミュレーションすると、もともと氾濫していた場所の問題は解決したが、今度は別の場所で水があふれた。そこで水路の幅を変えて…という作業を繰り返し、最適解を見つけ出した。繰り返しの作業ではあるが、CATIAに数値を入力するだけで簡単に設計変更して、すぐにシミュレーションにかけられるので、作業時間はわずか。今回は約2分で解析を終えている」
最後に菊池氏は今後の展望として、「CATIAを活用した土木構造物の自動設計モデルは、実務段階にまでようやく到達した。今後は、デジタル空間で効果を解析する手法に積極的に取り組んでいきたい。CATIAとXFlowの組み合わせで可能になることはまだ多く、試行錯誤しながら、土木分野での解析手法の変革を実現したい」と意気込みを口にして、講演を締め括った。
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