なぜ、CATIAによる自動設計モデルが課題解決に有効なのか。菊池氏はCATIAを活用する理由について、「パラメトリック設計ができることにある。これまで人の手で図面を描いていたが、キャティアを活用することで、3次元で地形を見ながら、数字を入力するだけで設計が可能になり、作業の効率化が期待できる。もう1つはテンプレートモデルの作成で、一度作ったモデルを他の場所で応用しやすい点も生産性向上に寄与する」と説明する。
菊池氏は、自動設計モデルと従来の設計手法との作業効率を比較した表を示しながら自動設計モデルの有用性をアピールし、「約3〜4割の生産性向上が期待できる」との自信を示した。
さらに菊池氏は、「時間をかけて図面を用意しても、打ち合わせの際に、発注者から“この部分を少し変更したらどうなる?”と言われたら、全ての図面を再作成しなければならず、“次回の打ち合わせで”になってしまう。自動計算モデルを使えば、位置を変更えても瞬時に設計できるので、変更結果をその場で共有して、意思決定のプロセスが大幅に速くなる」と発注者との打ち合わせプロセスの面でも、効率化が図れる点を強調した。
続いて話題は、CATIAとXFlowを連携させたシミュレーションに移った。菊池氏は、まず、土木分野でのシミュレーションの課題を整理した。
現状の2次元シミュレーションは、詳細な微地形や構造物を踏まえた評価が難しい。1次元や2次元のシミュレーションは分かりづらいが、3次元での解析は土木分野でまだ事例が少なく、浸透もしていない。
データ互換性もないため、毎回シミュレーション用データを作る必要がある。設計したCADデータをそのままシミュレーションに使用できる例はまれで、通常はシミュレーション用のモデルを別途に作成しなければならず、手間がかかる。
別の手法として、模型を使った詳細な解析では時間と工数が掛かる。菊池氏によれば、(河川を水槽に再現する)水理模型の実験だと、図面を作成してから模型が完成するまで2〜3カ月を要するという。制作費も約1000万円と高額で、実験費用も必要となる。実験には人手が取られるし、実験後は模型を撤去するのにも手間と費用が生じてしまう。
菊池氏は、土木シミュレーションの課題を指摘した後、CATIAとXFlowを連携させた3次元シミュレーションを活用することで、こうした課題を一挙に解決できるとの持論を展開した。「XFlowの特徴は、分かりやすいかたちで3次元解析が可能であること。(パラメトリックデザイン)のCATIAを組み合わせた設計ができる点も強みだ。CATIAは、数字を与えるだけで、モデルの形状を変えられる。XFlowと連携し、その変更結果を用いてシミュレーションを繰り返すことで、高レベルな検討がより容易に行える」(菊池氏)。
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