ダッソー・システムズは、2020年の事業説明会で、アフターコロナの市場でカギとなるクラウドに着目し、日本国内で「3DEXPERIENCEプラットフォーム・オン・クラウド」の販売を強化していく方針を明らかにした。
ダッソー・システムズは2020年5月28日、オンライン事業戦略説明会をビデオ会議システム(GoToWebinar)を介して開催した。
説明会では、新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会や経済環境に急速な変化が起こっている中、ダッソー・システムズのクラウド版「3DEXPERIENCEプラットフォーム」が中国での仮設病棟の立ち上げ、ベンチャーによる新型フェースシールドの開発促進、創薬支援などに活用されている成果を説明し、“ウィズ&アフターコロナ対応”を強力に支援していくことが表明された。
ダッソー・システムズ 代表取締役社長 フィリップ・ゴドブ氏は、「当社の出発点は航空機の設計で形状を表現する技術に始まり、製造分野で製品のライフサイクル全体での活用=PLMへと発展してきた。2012年には、これを最終消費者の感性という視点で捉えとらえ直すべく、3DEXPERIENCEプラットフォームの開発に至った。(言い換えれば、)製品を使用することで得られる体験(エクスペリエンス)の設計を実現した」と話す。
PLMや製品開発の先にある次の一手としては、「人体のヴァーチャル化によるシミュレーションで、医療や医薬のヘルスケア領域へエンドツーエンドでの参入を目指す。同時に、インフラや都市計画でも、バーチャルツインを展開していく」と展望を述べた。
新型コロナ対策の報告では、「政府や関係機関が重要な決定を下しているが、事前にシミュレーションをできないため、その選択が正しいか否かは現時点では分からない。だが、当社にはヴァーチャル技術の知見が蓄積されており、現に顧客企業がさまざまな決定を下すためのシミュレーションを支援した」と説明した。
具体的なプロジェクトでは、中国・武漢市の雷神山医院で、仮設の病院群を短期間で建設したケースを紹介。病棟内部の喚起や空気の流れを考慮して、再感染を防ぐベストなレイアウトはどれかを、流体解析シミュレーションで病院側と検討を重ねた。使用した技術は「SIMULIA XFlow」で、空気の流れを変えると室内に与える影響や室外へ空気が流れ込む範囲などが3次元で可視化される。この成果を受け、ADENグループと、医療施設の建設から運用開始までを100日で完了するターンキー・ソリューションの共同開発も試みられている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.