3Dソリューションを提供するダッソー・システムズは、国内の建設業界向けに、同社のBIMプラットフォームの提案を強化する。同社がターゲットとしているのが今後普及が期待される施工段階ににおけるBIM活用だ。設計・施工を含めた建設プロセス全体を包括的に管理することができるというBIMプラットフォームを武器に、大手ゼネコンを中心に提案を強化していく方針だ。
3Dソリューションを提供するダッソー・システムズは、国内の建設業界向けに、同社のBIMプラットフォームの提案を強化する。同社がターゲットとしているのが今後普及が期待される施工段階ににおけるBIM活用の進展だ。設計・施工を含めた建設プロセス全体を包括的に管理することができる同社のBIMプラットフォームを武器に、大手ゼネコンを中心に提案を強化していく方針だ。
国内で設計プロセスを中心に徐々に活用が広がり始めているBIM。しかし、ダッソー・システムズ シニア・ソリューション・コンサルタントの清水卓宏氏は「今後は施工段階においてよりBIMを活用していくことが重要だと考えている。なぜなら、建設費の約8割は施工段階、つまりはモノづくりの領域で発生している。この領域をBIMで効率化しなければ、利益率や生産性のさらなる向上が見込めないからだ」と述べる。
理想像を描くのであれば、設計段階で作成したBIMデータを、施工段階でも効率的に活用できるに越したことはない。しかし清水氏は現在の「設計におけるBIM」と「施工におけるBIM」の間には障壁があると指摘する。実際のBIMプロジェクトにおいては、複数のBIMソフトが利用されることも多く、扱うデータの形式/容量もさまざまなものがある。そのため設計段階で作成したBIMデータを、専門工事会社なども巻き込みながらシームレスに施工領域に適用し、活用していくことは簡単とは言えないからだ。
そこでダッソー・システムズが注力していくのが、こうした設計と施工をつなぐBIMプラットフォームの開発および提供だ。既に国内では設計領域で他ベンダーのBIMソフトの普及が進んでいる。そこで、こうした他社のBIMソフトや、その他の建設生産に関するさまざまなデータ形式を取り込めるプラットフォームを構築する。「他社のBIMソフトで作成したデータでも、ジオメトリを劣化させることなく取り込むことができる独自のデータフォーマットを持っている。取り込んだデータを再び渡すときには、IFCデータで提供できる仕組みだ」(清水氏)
ダッソー・システムズでは既に施工計画や管理を行える個別のソリューションをそろえている。BIMプラットフォームに取り込んだBIMデータを活用しながら、干渉チェックや施工管理が行える。1つのプラットフォーム上でさまざまなデータを扱えるようにすることで、手戻りなどを削減し、施工の効率化が行えるとする。「特にこうした施工管理において、3Dモデルに『時間軸』を加えてデータやスケジュール管理を行えるというのは大きなインパクトがある」(同社)
同社はこれまでに特に製造業分野において、3D CAD「CATIA」をはじめとする3Dのモデルを活用したさまざまなソリューションの導入で実績がある。清水氏は「製造業においては、設計段階で3Dモデルを作成し、それを生産工程にも生かすというのは現在では当たり前に行われている。これを建設業界に置き換えれば、プロジェクト関係者全員が3Dモデルにアクセスして設計・施工を進める『BIMレベル3』に相当する技術といえるだろう。ダッソー・システムズではこうした設計から生産までのライフサイクル全体における3Dモデル活用に多くのノウハウがある。こうした製造業で培った技術やノウハウを建設業界向けにも提供していく」と述べる。
海外では既に複数の同社のソリューションを採用したBIMプロジェクトの実績がある。国内ではCATIAなどの採用事例はあるが、本格的なBIMプロジェクトへの導入事例は少ない。今後は大手ゼネコンを中心に提案を進め、国内市場の開拓に注力していく方針だ。
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