建設技術者の有効求人倍率について、過去3年間の推移を月別に比較すると、2021年の有効求人倍率は、全ての月で2019年を下回った。2020年比でも3月まで下回ったが、2021年5月以降は前年同月の有効求人倍率を上回るようになり、人材需給が徐々に逼迫している(図表5)。
各年の平均有効求人倍率について、過去3年間をみると、2021年は6.01倍で2020年(同5.90倍)を0.12ポイント上回るも、2019年(同6.55倍)は0.54ポイント下回った。人材需給の逼迫度は2020年を若干上回るが、2019年ほどではない水準にある状況がうかがえる(図表6)。
2021年の建設技術者の人材需要は、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が3回も発出されたにもかかわらず、東京オリンピックに向けた建設工事がピークを迎えた2019年に匹敵する高水準で推移した。一方で求職者は、増加傾向となったが、2021年5月以降は一転、減少傾向に転じた。その結果、2021年の建設業の人材需給は、2019年ほど逼迫するには至らなかったが、2020年より厳しい状況となった。
次に、2022年の動向では、厚生労働省の労働経済動向調査による労働者の過不足判断DI(Diffusion Index:不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値)をもとに考察すると、建設技術者の過不足判断DIは、2020年8月の44ポイントから上昇傾向が続き、直近の2021年11月調査では63ポイントまで上昇して、2019年11月と同水準となった(図表7)。このことから建設技術者の不足感は、急速に高まっていることが判明した。
こうした調査結果から、2022年についても、建設技術者の人材需要は高まり続けることが推測されることに加え、コロナ禍の収束に伴い他産業の採用意欲が高まることで、2022年の建設技術者の人材需給は、さらに逼迫するのではないかと推測される。
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