【第9回】「設計BIM全社移行を実現する社内教育の秘訣」(BIM啓蒙期・前編)BIMで建設業界に革命を!10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ(9)(3/3 ページ)

» 2020年10月14日 10時00分 公開
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デザインするツールとしてのRevitをマイスターも理解

 短期間でデザインを考慮しながら設計を行うことができるかという、実験的な意味も兼ねて取り組んだRevitデザイン研修であったので、多少心配もしていたが、実際にはとても楽しいものであった。日ごろからRevitを使っている設計者でも、デザインマイスターの指導が入るという点で、新しい気付きを得ることがでたようである。

デザイン研修によって作成された建物-1

 Revitの機能制限やファミリ不足がデザインに影響を与えないとは思っていなかったが、工夫次第で、それを乗り越え、魅力的な建物のデザインを作ることを可能にすることが再確認された。

デザイン研修によって作成された建物-2

 デザイン研修による成果は、研修生の成長だけではなかった。研修のデザイン指導に当たったデザインマイスターにとっても、短時間でも、建物をデザインするツールとしてRevitを理解してもらったことは大きい。BIM研修は、社員で行うのが当社のスタイルだと言ったが、講師の側でも、研修を自分で行うことで、研修資料の作成や次の研修へ向けた改善点などを確認できることが、重要だということである。

「Autodesk Revit公式トレーニングガイド」の刊行

 2014年に発刊した「Autodesk Revit公式トレーニングガイド」は、これらの経験をもとに執筆した。1泊2日の短い研修では、多くを伝えることができない。表面的なRevitのテクニックだけでなく、Revitの思想ともいえる基本的な概念も知ってほしいとの思いから本書を著した。当時は、まだRevitの教則本が出回っていなかったこともあり、自ら本を書くことを選んだ。

2014年に出版された「Revitトレーニングガイド」

 本書の特徴は、AutoCADなどの2次元CADユーザーが、Revitに取り組むことができるように、Revitの2次元機能から説明をしていることと、Revitの情報管理として重要な共有パラメータなどのパラメータについての説明をしていることである。

 後に新入社員研修などにも活用し、社内研修の補助読本にもなった。今でも時々、「この本を読んでRevitを覚えた」と言ってくれる方がいるのは、喜ばしい限りである。

 何度かこの本の続編を書こうと構想を練ったが、機会に恵まれず今に至っている。下記は結局、陽の目を見ることの無かった続編の「ファミリ作成編」である。

公開されることがなかったRevitトレーニングガイドの続編「ファミリ作成編」

 実は、2020年の冬に、同じくAutodeskの公認でRevitトレーニングガイドの“改訂版”をダイスネクストの石川達也氏と共著で出版する予定である。ダイスネクストはCAD/BIM/DTP業務を行っている当社の子会社で、石川氏は当社のコンポーネントファミリの管理と作成を担当している方である。私は、Revitの設計プロセスやBIM 360の説明を担当しているが、主な部分は石川氏に担ってもらった。

 今回は2次元CADを意識することなく著述しており、改訂版といっても、内容は一新している。また、実務活用を前提に、応用技術の「BooT.one」にも対応していることが特徴である。期待していただきたい。

 次回のBIM啓蒙期・後編では、BIM啓蒙期のもう一つの特徴的な研修について紹介してゆく(2020年10月16日10:00公開予定)。

著者Profile

伊藤 久晴/Hisaharu Ito

大和ハウス工業 建設デジタル推進部(旧・BIM推進部) シニアマネージャー(2020年4月1日現在)。2006年にオートデスクのセミナーでRevitの紹介をし、2007年RUG(Revit User Group Japan)の初代会長となって以来、BIMに目覚める。2011年RUG会長を辞して、大和ハウス工業内でBIMの啓蒙・普及に努め、“全社BIM移行”を進めている。「BIMはツールではなく、プロセスであり、建設業界に革命を起こすもの」が持論。

近著に「Autodesk Revit公式トレーニングガイド」(2014/日経BP)。

連載バックナンバー:

BIMで建設業界に革命を!〜10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ

 第8回:「産学一体となって日本のBIMを変えてゆこう!」

 第7回:「迷走する設備BIMの後れを取り戻せ!」(後編)

 第6回:「迷走する設備BIMの後れを取り戻せ!」(前編)

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